・・・・・・・・・・・・なんか、すっごい、イヤな予感がした。

そろーり、と。ソコに目を向ける。





――――――ばちぃ!!と。ソレと視線があった、様な気がした。





ひき、と顔が引き攣った。

頭の中が真っ白になった。

そして。





「~~~~~~うぎゃ――――っっっっ!?!?」




 




 




 





 
止まってから動き出した日。




 




 




 




 
「に”ゃ――――っっ!!い”や――――っっ!!」

イヤだダメだ気色悪いきしょくわるいキショクワルイ!!!!





思わず『舞扇』放り出して、形振り構わずばたばた暴れた。

暴れながらバンバン叩いて、肩からソレが落ちるなりずざざざっっ!!と飛び退いた。

ソレから反射で目の前の黒い服に縋り付き、その胸に顔を押し付ける。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい」

うぅう手に当たったよ触っちゃったよ感触残ってるよきもちわるいよぅ~。

「・・・・・・・・・・・・おい」

うぇぇきたないよばっちいよきもちわるいよぅ~。

「・・・・・・聞いているのか、おい」





「おい、おま・・・・・・」

かさかさっっ。

「うに”ゃ――――――っっっっ!!!!」





い、いいいいい今!!今かさかさって!!かさかさってゆった!!

まだいる!!絶対近くにまだいるよアイツ!!

イヤだきもちわるいどっかいけむしろ地上から消えてなくなれ!!





目の前の黒い服にぎゅうっとシワを作りつつ、ぷるぷる震えながら、恐る恐る後ろを振り返る。

――――――ひぃっ、やっぱりいたよホントにいるよ!!

しかもナゼなにイッタイどうして!!ぞろりと床を舐める様にかさかさ大量の足を動かしながらコッチに向かって来んのさ!?





「ぎゃ――――っっ!!来るな寄るな近付くなばか――――っっ!!」

「おいっ、お前少しは落ち着――――――」

「いや――――っっ!!来んな来んな来んな来んな――――っっ!!」





――――――ぷち、ん。





「っっっっ澄み渡る明光よ罪深き者に壮麗たる裁きを降らせよ!!愚者には無慈悲成る白銀の棺よ凍れる魂を雷光の槍にて貫け!!開け闇の顎地表に蠢く卑小なる輩を底無しの深淵へと

呑み込め!!悠遠を支えし偉大なる王よ地に平伏す愚かな贄を喰らい尽くせ!!怒れ大地に住まう幾万の魂いらえ無き蹂躙独裁を赦す事無く貫け!!!!」





どごんばがんちゅどんばぁんばりばりどっかぁん!!!!





はー、はー、はー、はー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ。





――――――うーわー。ヤバい今あたし完全理性すっ飛んでた。

そろそろ~と、ヤツに向けて翳してた腕を下ろしてみれば、まあ見事にこの一角瓦礫の山。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。高等魔術5発も打ち込んだもんね。むしろ5発も打ち込んだのにこの程度で済んだって方が奇跡だよね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弁償、とかって言われる前にさっさと逃げよ。





そうと決まれば善は急げ。こんなトコ一刻も早く離れよう。そう思って、一歩踏み出そうとして、気付いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねえ、あたしの腰にまわってるこの腕は何かな?

いややっぱいい。答えなんて言わなくていい。誰のものかなんてイヤってほど解ってるから!!





「・・・・・・・・・・・・放して、くれないか」

「嫌だ」





聞こえた囁き声は、耳のすぐ近くで。

耳朶に当たった息に、あたしは身を竦ませる。

そんなあたしの身体の震えを敏感に感じ取って、団長サマは更に耳に吹きかける様に言った。





「折角そっちから飛び込んで来てくれたのに、放す訳が無いだろう?」




 




 




 










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