目前の扉に飛び込んで、叩き潰す勢いで閉める。
途端、目にしたのは床に転がった護衛さん達。
・・・・・・・・・・・・まさか潜り込んでたって賊も蜘蛛じゃないだろね。
って悠長に考えてるヒマなんか今はない!!
あたしはぐっと足に力を込めて、がいるだろうな、って方向にダッシュした。
止まってから動き出した日。
・・・・・・・・・・・・で。
なんであたし、こんな状況に追い込まれてるんでしょーね。
「ねえ、如何して逃げるんだい?」
心の底から楽しい、そんな感じの声が靴音と一緒に近付いてくる。
対するあたしは意気消沈。もう返事を返す気力すら湧かない。
今、あたしの目の前には壁。右に更衣室ってプレートのついた部屋のドア。
そして背後には、ホールへと続くだろう廊下と、某A級賞金首。
の気配と感覚だけを追ってアッチへ曲がりコッチを通り、着いた先がこんなトコロだなんて。
・・・・・・・・・・・・何もこんな時に迷子癖発揮しなくてもイイんじゃないかあたし?
諦め半分でゆっくり振り返る。
退路を断つ様に立ちはだかってたのはやっぱりすっごい楽しそうな団長サマ。
しかも手に本持ってんですけど。
・・・・・・・・・・・・もうやだ。このまま溶けて消えてなくなってしまいたい。
取り敢えず、何時仕掛けられても良い様に腰を落として、ベルトのホルダーから双剣よろしく提げてたふた振りの扇を引き出す。
欠片と念でに直してもらって色もサイズもバージョンアップした『舞扇』は、パチリと少しだけ開くと蛍光灯の光で翡翠色に煌めいた。
「・・・・・・綺麗なのに何だか物騒に見えるのは気のせいかな?」
「・・・・・・どうだろう、な!」
先手必勝!!
悠々と立つ団長サマの懐に、も太鼓判を押してくれた俊足で飛び込み、一閃。
・・・・・・余裕綽々の表情しながら本でガードしてくれたけどね。
しかも柄の部分がっしり掴んでぐいっと引っ張るもんだから、あたしは慌てて右手の『舞扇』から手を離すハメに。
「・・・・・・へえ。結構重いんだな、此れ」
アタリマエ。ソレはあたしを主と認めたあたしのイノセンスなんだから。
あたしやには羽根の様な軽さ。でもソレ以外が持つと途端にトン単位で重くなるシロモノだ。
アレンやラビで実証済みさ。
・・・・・・・・・・・・なのに何。重いとか言いながら何でこの人片手で軽々持ち上げてんの!
ああもうっ、こんなだからイヤなんだこの世界!人間離れした人多過ぎ!!
こんなん相手にどーやって立ち回りしろってのさこんちきしょう!!!
「こんな重いものを軽々と振り回すなんて・・・・・・凄いな。見た目に似合わず、結構力がある様だ」
「・・・・・・それはどうも」
褒められてる様には聞こえない。
コレだけ力が強くても、ソレでもまだ俺の敵じゃない、って含みがビシバシだから。
あたしもそう思う。
ココで団長サマとガチンコ勝負やっても、8割の確率で、あたしが負ける。
しかも場所も悪い。
たたん、とバックステップで間合いを取るも、既にあたしの背中には壁の感触。
・・・・・・袋の鼠、って。こーゆーのを言うんでしょーね。
どうしよう。どうすればイイ?
どうやったらあたしはこの危機的状況から脱出できる?
考えろ。考えるんだあたし。枯れた世界樹の最初の種子。知識ならソレこそ腐る程持ってるハズ。
の元をやってんのは伊達じゃないんだどーにかしろよ自分であたし!!
――――――そんな感じでぐるぐる考えてた時だ。
ぼとり、と。
あたしの肩に何かが落ちてきたのは。
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