『『鋼の処女』はさ、けっこー長い事と半同化してるから、本質が『悪魔を壊す』から『を害するものを壊す』に変わってんだよね』
そなの?ふんふん。それで?
『でも元はイノセンスであくまで半同化だからさ、と繋がってはいるけど完全なの一部じゃないんだよね』
・・・・・・・・・・・・あー。うん。それからそれから?
『俺は『』の残留思念と記憶の塊だからの一部だけどさ、封印っていう術で一時的ではあるけどから分けられて固定されてたよね』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん何言いたいのか解んない。
『だから、さ。完全には無理だけど、概念さえしっかりしてれば念で分裂に近い状態には持ってけると思うんだよ』
始まりから止まった日。
そんな話から早4ヶ月。
あたしは未だに森の中にいます。
森っていうより山なんだろうけどね。地形とか見てたら。
取り敢えず、纏は即効でできたものの、気を抜けばオーラ垂れ流し状態に戻るし。
そんな不完全な纏の状況で人の多いトコいったら、何かのきっかけで簡単に精孔ぱっくり開きそうだし。
・・・・・・・・・・・・これっくらい身を隠してれば、旅団の皆サマもあたしの事なんてもう忘れて下さってると思うし。
でもそろそろ。サバイバルは終わりかな、って思ってる。
纏は完璧マスター出来た。絶もキレイに持続する様になった。錬もけっこうイイ線いった。
そして、発も。
「何時まで水浴びしてんの。風邪引くよ?」
「んーまだだいじょぶじょぶー」
川辺から飛んできた声にひらひらと手を振って、その手をこいこいと手招きに。
「も水浴びしたらー?きもちイイよー?」
「・・・・・・・・・・・・年頃の女性がこーゆー事で男を誘わないの」
こめかみに指を置きつつ、溜息混じりにあたしを諭すはちょっと遠い目だ。
そんなにあたしは更にに、と人の悪い笑みを浮かべてやった。
「今の俺のドコをどー見たら女性になんの。つか『あたし』が『あんた』を誘う事に何か問題でもあんの」
「・・・・・・・・・・・・イヤないんだけどねぶっちゃけ。うん」
結論から言おう。
あたしと『』の念による分裂は、成功した。
あくまでモドキ。分裂じゃなく分身を作った、だけど。
核となった物質は、あたしの心臓からはがした元イノセンス現在ビミョーにあたしの一部の『鋼の処女』。
ソコに封印術の要だった『』を、新しく組み立てた封印術式(前の効力を10とすると今回は7くらいだ)と一緒に結合させて。
アーグとエーテルは常にあたしから供給される様に繋げて、元々のイノセンスの力と念の具現化能力応用して、作った。
・・・・・・・・・・・・あたしは感覚でしか解ってなくて、術の組み立てとか論理とかは『』に任せてんだけどね。
『あたし』という元があって初めてその存在を確立出来る。
あたしの欠片。あたしの影。あたしの一部。あたしの分身。
ありとあらゆるものからあたしを護る盾。あたしを傷付けようとするもの全てを屠る牙。
「身体の調子はどうよ?『絶対の守護者』さん」
「ふつーの人間に擬態すんのは苦労するね・・・・・・ま、でも定着はしてきたかな」
だから滅多な事がなきゃ俺が念だって見破られる事はないよ、と笑ってぱしゃぱしゃ川に入って近付いてくるは、どっからどーみても人間だ。
黒髪。白い肌。身長も体重も顔のパーツも何もかもあたしと一緒。
並んで立ってたら、皆あたし達が一卵性の双子だって思って疑いもしないだろう。
唯一違うのは、色違いの瞳の色だけ。
力を象徴する太陽の朱金の光彩はの左目。
精神を象徴する月の青銀の光彩はあたしの右目。
どっちも黒とのオッド・アイで、だけど正反対のシンメトリー。
「で、コレからどうすんの?」
「おぅわっっ!?・・・・・・ってコレから?」
ざばんっと痺れを切らしたに抱き上げられぱちぱち爆ぜる焚き火の傍まで連行されて。
あたしはんー、と考えて言った。
「取り敢えず、白いごはん食べたい。麺類でも可」
果物も焼き魚ももう飽きた。
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