念って何?って聞かれたら、みんなはどう答えるだろう。
あたしの答えはね、もうこの一言に尽きるね。
反則技。
だって概念さえしっかりしてて、使えるオーラの量が莫大だったら、何でも出来るんだよ?
後は本人のインスピレーション次第。
だから、さ。やろうと思えば出来ると思ったんだよ。
始まりから止まった日。
『で、分裂?』
「そう。分裂」
中身くり抜いたらそのままおうちも作れそうな、でっかい樹の枝に腰掛けながらあたしは溜息混じりの質問に答える。
ちなみに腕の中にはたくさんの果実。
あれから2日。
だましだまし『鉄の処女』を発動して傷を徐徐に治しつつ、よーやっと動ける様になったあたしの久しぶりのお昼ごはんだ。
くぅうっっ。つい昨日までぶらぶらと目の前垂れ下がってんのに採ろうにも採れなかったヤツが!!
やっと、やっと食べられる!!
「いっただっきまーすvv」
ぱく。・・・・・・んぐんぐ。
~~~~っっっ、っぃしーvv
もう何コレ何この甘さvv濃厚でいてしかし後が残るワケでもなくvv
ああんもうあたし生きてて良かったぁ~~~~vv
『・・・・・・・・・・・・ま、良いけどね』
ぽつりと溢された『』の呟きがさみしそーだった。
・・・・・・・・・・・・ごめんごめん忘れるトコだった。何だっけ・・・・・・そうそう。分裂だ分裂。
念を使えば、やれない事はないんじゃないかな?
『んー・・・・・・まあ、念の性質見れば出来なくもないだろうけど・・・・・・』
けど?何さ?
『俺ら・・・・・・の魂がなぁ。基本何にでも溶けて何にでも同化する本質じゃん。ソレって逆を言えば本質がないって事だからさ』
・・・・・・・・・・・・おおう。何となく解った。空気と空気を分けても巡り巡って結局は空気のまんまって事ね。
『その例えはアレですが、当たらずとも遠からずって感じかな』
くそう。念を使うってけっこうイイ手だと思ったのに。
あたしの提案はものの見事に沈没。
するってーと、アレかー。あたしもうすぐホントにアレになんのかー。
神サマ関係どころか悪魔関係までずりずり引き寄せて、良い事どころか悪い事もばんばん惹き寄せちゃうのかー。
今までもけっこう化け物じみてて、ラビ達助ける為なら人間だって捨ててやるって豪語したけど、ホントに人間じゃなくなんのかー。
しかも長い間人間に擬態してたもんだから、その本質引きずってまた輪廻に組み込まれるのかー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やーね同道巡りって。
しゃく、と再び手の中の果実に歯を立てる。
さっきとおんなじ、しつこくない甘さはすっごく美味しいと思う。思う、けど。
テンションの違いはこうまで味覚も変えるのか。
『うーんコレばっかりはなー・・・・・・・・・・・・あ。』
はうぅ~と溜息吐きつつもくもくと果物食べてたあたしの脳内で、『』が何か思い出したかの様に言葉を切った。
・・・・・・・・・・・・何さ、追い打ちならイラナイよ。
『イヤ追い打ちじゃない追い打ちじゃない』
だったら何さ。
『出来るかもしんない。分裂』
――――――マジですか?
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