Ver..Zack





 クラウドとちゃんが書類を提出しに部屋を出たのを見計らったよーに。

 イキナリ切り出してたにーさんの言葉に、俺は、ほけん、と口を開けた。





「・・・・・・暗殺?」





 こりゃまた物騒な単語が出たなヲイ。

 って、ちこっと眉を顰めてにーさんの方を見遣ったら、にーさんはでっかい溜息を吐いてくれた。





「人手が足りないと此方にまで人員要請をしてきた」

「って何でソルジャーに」

 ウチは元々戦闘要員だろ。

 タークスはどーしたタークスは。

 潜入とか諜報とか監視とか。あと暗殺も。

 こーゆー、ミッドガル内部の管轄はアイツ等の仕事だろーがよ。





 またまたにーさんが溜息。

 もーすっげ「ウンザリです。」って顔にまででかでかと書いて。

「プレジデントが数日前から遠方演説に行くとやらで、タークスをほぼ全員、護衛として連れて行っててな」

「・・・・・・うーわー。まじサイッテー。」

 そりゃ溜息も吐きたくなるわ。

 ナニユエ自分の息子に暗殺掛かってるってー時にタークスほぼ全員連れてくかな。





 まあ、連れてっちまったモンはしゃーねぇ。

 さくっと意識切り替えねぇと。





「で、人員要請?」

「ああ。取り合えず今は身辺警護に2、3人欲しい、と」

 一応、リードとアイザック、デイルの3人に任せるつもりだ、なんつーにーさんの声を聞き流しつつ・・・・・・

 ・・・・・・ん?んん??

「2、3人?イイのかそんだけで・・・・・・って、『取り合えず今は』?」

 ・・・・・・なんか、えらくイヤな予感ビシバシなんすけど・・・・・・





 あ。

 にーさん再びでっけぇ溜息。

 こりゃ、んっとーに何かあるぞ。





「・・・・・・・・・・・・決行日時は粗方予測出来ているそうだ」

「って、相手判ってるって事かよ?」

 って事はぁ?

 相手を泳がしておいて、鼻の穴掻く様にふん捕まえて?

 最終的にゃ裏で手ぇ回してた奴等まで公衆の面前に引っ張り出して、ぐぅの字も出ねぇくらいヤッちまうってワケか?

 はぁーそりゃ何とも。あの副社長サマの考えそうな事だ。





「いや、其処までの断定は出来ていないらしい・・・・・・アイツも敵が多いからな」

「・・・・・・あー。だよなー・・・・・・」

 今1番、時期社長に近いトコにいるヤツだからなー。

 もーどんなちっちぇ失態も見逃すまいと目ぇ光らせるゴウツク狸共の多い事多い事。





 ま。そんなだからこそ、今は泳がせて相手の動向を見る、ってのは判る。





「けど、なぁんだって決行日が判ったんだ?」

 ふと浮かんだ疑問に、にーさんはまたまたでっけぇ溜息だ。

 うっわ何その人を馬鹿にしたよーな目は。





「・・・・・・・・・・・・貴様、郵便物の確認をしていないのか」

「へ?」

 何故ソコで郵便物。

 きょとん、とした俺に、にーさんはもっかいこれ見よがしに溜息。





 で。

 ゴソゴソと引き出しから取り出したのは。





「貴様にも来ている筈だぞ」

「・・・・・・・・・・・・あー、うん。来てた」

 心底イヤそーな声に、俺の眉間にも皺が寄る。

 確かに来てたよ。今にーさんが手に持ってるのと同じ、上質な白い封筒。

 中身も見ずに速攻ゴミ箱にペイ!!ってしたけどな。

 だって中身なんて見なくても判ってる。毎年毎年、同じヤツが来るんだから。





 何が悲しゅーて、しゃっほこばった服着て作り笑顔始終貼り付けて。

 見下す様な視線に晒されながら、くっせぇ香水と葉巻の匂いん中。

 大して美味くもねぇメシをすました顔して食わなきゃなんねぇんだっつの。




「で。此れはヤツ直々の指令書だ」

 ぺいっ、とパーティの招待状が入った封筒をデスクの上に投げ捨てて。

 次ににーさんがひらひらとさせたのは、一枚の書類。

 見ろ、と差し出されたソレは、ほんっとすっげぇイヤ〜な予感ビシッバシで。

 恐る恐る受け取って、文字の羅列を辿る。





 一拍後。

 俺はキレーにフリーズした。





 がばっっ!!と書類に食い付いて、何度も何度も、ソコに書かれた文字を読み返す。

 読み返し。よみかえし・・・・・・ヨミカエシ。

「・・・・・・っな、っっんだコレェェエエッッ!?!?」

 マジですかにーさん!?!?コレほんとーにマジなんですかコレ!?!?

「五月蠅い黙れ俺だって冗談だと思いたい」





 うっわー。にーさん声が沈痛ー。

 しかも頭抱えやがった。

 ・・・・・・・・・・・・つか、俺も頭抱えてぇ。




「・・・・・・コレ、強制?」

「・・・・・・ああ」

「・・・・・・・・・・・・ちゃんとクラウドが今ココにいなくて良かったかも・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・問題を後回しにするな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・って言うけど、んじゃにーさんはあの2人にこの事言えんの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





 ソレって、言いたくねぇ、って事だよな?

 俺も言いたくねぇーよぉー。





「・・・・・・・・・・・・にーさん。」

「・・・・・・・・・・・・何だ」

 ひっくい俺の声に返ってくるのは、これまたひっくい声。

「・・・・・・・・・・・・俺、にーさんの相棒だよな」

「・・・・・・・・・・・・ああ。一応、な」





 ああああチクショウこんな指令書なんか燃やしてやりてぇ。

 だけど命令に背けないのは、雇用されてる人間の悲しい性だ。





「・・・・・・・・・・・・死なば諸共、だよな」

「・・・・・・・・・・・・そうだな」

 にーさんの重い返事に。

 俺は指令書を片手で握り潰しながら、もう片方の手で十字を切った。





 ・・・・・・・・・・・・明日、お日様を拝めるんだろうか、俺等・・・・・・・・・・・・

























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