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 なんか最近、ザックスの様子がおかしい。

 何がどうおかしいのかっていったら。





「サー・ザックス」

「ぅえっっ!?ははははいっっ!?!?」

「・・・・・・・・・・・・何どもってんですか」

「いいいいいやいや何でもナイでありますですよ、はい。」





 書類にサインが欲しくて声を掛けたら、こんな感じ。

 しかも毎回、だ。

 思わずじとーって見てしまうさ。





 さらに、おかしいのはザックスだけじゃない。

 セフィもだ。

 ついこの間、クラがサー・ガイルから押し付けられたという小さなクリスマスツリーを持って来た時なんか。





「そっか、もうそんな時期か」

「・・・・・・(びくっっ)」

「・・・・・・?サー・セフィロス?どうかしました?」

「い、いや、何でも」

「?・・・・・・そうですか?ああ、クリスマスっていえば、クラは今年どうするんだ?実家帰んのか?」

「・・・・・・っっ(バサバサッッ)」

「・・・・・・・・・・・・サー・セフィロス?」

「・・・・・・す、すまん・・・・・・手が滑った・・・・・・」





 こんな感じ。

 なんか異様に、クリスマスって単語に敏感になってんだけど。





「・・・・・・どう思う、

「・・・・・・アヤシイと思う」

「だよな。アヤシイよな」

「ああ。アレは絶対なんか隠してんな」





 こっそり。ひそひそ。

 クラと2人、書類の影で顔突き合わせて言い合う。

 ちらん、と視線を向けた先には、うーうー唸りながら書類(というか始末書)を作成してるザックスの姿。

 ちなみにセフィは、さっき上からお呼び出しが掛かって、ぶちぶち文句言いながら執務室を出て行きました。





 俺とクラはもう一度、目を合わせる。

 で、こっくりと頷き合って。





「そういえば、ザックスはどうすんの?」

 さも、書類確認の合間に思い出したかの様に、声を掛けてみる。

「んあ?どーするって、何が?」

 ソレに反応して、ザックスが顔を上げた。

「クリスマスだよ」





 ――――――あ。

 固まったよザックス見事に。





「く、くくくくくくくりくり、くり、くりすますですか!?!?な、なななな、なんで!?!?」

 うーわーあ。しかもすっごい挙動不審ー。





「・・・・・・俺達、サー・サリカにコンパに誘われてるんだが」

「ええええ!?!?ここここんぱ!?!?!?だめ!!ソレはダメ!!ぜっっっ、てぇダメ!!」

「・・・・・・何で?」

「・・・・・・う。いいいやそれはその・・・・・・っそう!!だってアブナイから!!サリカの女友達すっげおっかないから!!クラウドとちゃんなんかぺろっていかれちゃうから!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何気に酷い言い様だな」





 ぼそっと言ったクラのセリフにザックスは、いやいやあのあの、ってすっごいわたわたする。

「まあ、そんな乗り気でもないから断るつもり、ってゆーかもう断ったけどな」

「あ、あ、そうなんだ・・・・・・」

 そんな事を言ってみたら、案の定ザックスはあからさまにホッとした顔を見せた。

 ・・・・・・さて。もうひと揺さぶり。





「けど、どうせだし定時で上がれる様ならの部屋でホームパーティーでもしようかって話をしてたんだ」





 その、クラのセリフを聞いた途端のザックス。

 コレでもか、ってなくらいギョッとした顔をしたよ。





「む、無理っ。その日はぜってぇ残業になるっっ」

「え。何で?」

「な、何でって」

「俺達、今現在は一応内勤扱いになってるよな」

「・・・・・・うっ。」

「んで、今んトコ仕事なんて溜まってないから、この調子でいけば残業なんて普通に考えてありえないよな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ううっっ。」

「「なのに残業って、何で?」」





 にぃっこり。





「――――――ザックス、俺達に何を隠してる?」

「しっかりはっきりまるっと全部、ちゃきちゃき吐いて?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





 2人揃って腕組みしつつ、満開の笑顔で聞けば。

 憐れザックスは、ちっちゃくちっちゃく身を縮込ませた。

























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