さっきまでの和やかムードから一転。
周囲は行き成り騒然としやがった。
ソレもコレも、原因はにーさんのサラリとした一言で。
ちゅーかんな事アッサリ言うなよ!!悪質な冗談かと思っちまうじゃねぇか!!
「マジですかセフィロスさん!?」
『残念ながら、な』
マイクひったくって声を荒げるガイルに、返ってくるのは冷静な声だ。
だーからっ、もーちっと慌てろよ!!
「おい、如何した?」
「なに皆して慌ててんだよ」
・・・・・・って、状況飲み込めてないヤツがココに2人っ。
いやコッチの気配を敏感に察知して速攻車から降りたのは褒めるけどなっ!
「リード、レオン!!セフィロスさんの車が!!」
「ブレーキ利かねぇって!!」
「「・・・・・・・・・・・・はぁ!?」」
教えてやろうとして開けた口は、先にサリカとガイルの2人に遮られて。
その科白に驚いたリードとレオンだけど。
あれ?と首を傾げたのはレオンだった。
「・・・・・・え、ちょっと待て。アレ俺が乗ってた時は何とも無かったぞ?」
「えっウソまじ!?」
「てんめぇーレオンセフィロスさんに何の恨みがあって!?」
「って何で俺の所為になんだよ!!」
「てめーじゃなきゃ誰がやんだっての!!」
だーーーーっっ、もう!!
ガイル!!てめぇんなトコでレオンに突っ掛かんな!!
こらサリカ!!参戦してんじゃねぇ!!
今はんな事やってる場合じゃねーだろ!?
どーせ休みが少ない腹癒せだとか遠征の多さの鬱憤晴らしだろとか。
ハタでぎゃいぎゃい言い合い始めた3人に、リードと俺のイライラもピークに達して。
ぐりん!!と振り返って一発渇を入れてやろうとした時だ。
「――――――喧しい!!」
びぃん!!――――――と張り上げられた声。
ソイツは絶対的な圧倒感でもって、レオン達のみならず、その場にいた全員の声を奪った。
・・・・・・・・・・・・ああああ、なんかあの3人、一番押しちゃいけねぇ人のスイッチ押しちまったよ・・・・・・・・・・・・
そろり、そろりと目を向けた先。
腕組んで、走る車見据えたまま仁王立ちするちゃんを見て、そう思った。
しん、と静まり返った一帯。
物音ひとつでも立てようものなら、再びビリビリくる叱咤が飛んできそうで、身動きもできない。
ソコへ、イキナリ。
「――――――おい、其処の整備士」
「はっ、はいぃいっっ!?」
・・・・・・カワイソウに。ちろん、とちゃんに流し見された青いつなぎ姿の整備士さんは、もー涙目だ。
しかもちゃん、なんかキてる。口調がにーさんみたいになってるって。
「今日は、試乗を終えるたびにチェックが入っているな」
「は、え、ええ・・・・・・」
・・・・・・あ。確かに。誰かが乗りまわすたんびに、ガソリンとかタイヤとか見てるヤツいたな。
「サー・レオンが降りた後、あの車をチェックした奴は今何処に居る」
「え、あ、そういえば・・・・・・車の点検に入った後、直ぐにトイレに行って、まだ戻って・・・・・・」
しん、と。再び場が沈黙した。
整備のおっちゃんの言葉が頭ん中でリピートする。
・・・・・・えーっと、ソレって、つまり・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・ソイツか」
「ちっくしょ・・・・・・20分以上も前かよ、くそ!!」
怒りを押し殺した様なリードの呟きに、悔しそうなレオンの声。
がんっっ、とガイルが近くの機材を蹴り付ける。
そんな中、ちゃんが空いたマイクを手に持って、にーさんに言った。
「――――――だ、そうですがサー・セフィロス、クラ。聞こえてましたか?」
『・・・・・・ああ。しっかり』
『・・・・・・コレ以上ないくらい鮮明に』
「細工をされたのはブレーキだけではないかもしれませんね」
『下手に車を止めると、どかんと行く可能性もある、って事だよな』
なんつー会話を飄々とやってんだコイツ等わ。
「ガソリンどれくらい残ってます?」
『残り3分の1・・・・・・といったところか』
常に満タン状態にしてる筈なのに、なんていう整備のおっちゃんの声が飛んだ。
「良かったですね此処が滑走路で」
イヤ良くねぇし!!
『全くだ』
『だよな』
しかもにーさんもクラウドもあっさり返すなよ!!
内心ツッコミどころ万歳だったけど。
喧しい!!なんて怒鳴られんの怖ぇーから、うずうずしもってちゃんを見てたら。
「と、いう訳で監督さん」
くるり、と振り返ったちゃんが、こっわいくれーのキレーな笑顔を浮かべたもんだからさ。
思わずサリカの背中に隠れちまった。
しかも、怖い、と思ったのは俺だけじゃなかったみてーで、みんな青い顔してちゃんを見てる。
特に名指しされた監督さんは、ソレが顕著だ。
「あの車、壊れますが構いませんよね?」
・・・・・・なんか言外に『テロリスト紛れ込ませたのはソッチの責任なんだから文句言うなよ』って聞こえた様な・・・・・・
「・・・・・・そ、ソレは・・・・・・人命優先ですからもちろん・・・・・・」
冷や汗かきながら小さく応えた監督さんに、ちゃんはありがとうございます、なんて笑いながら言った。
・・・・・・・・・・・・ホントはんな事コレッぽっちも思ってないくせに・・・・・・・・・・・・
<<バック ネクスト>>
<<バック トゥ トップ>>