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Ver.Zack





 にーさんに頷かせるにはクラウドを盾に使え!を実行してから、約1週間。

 いま俺等は、神羅の所属する軍用滑走路にイマス。

 この日の為に、丸々一本貸し切ったんだってよ。





「よっくもまーガハハやらキャハハやらが許可出したなー」

 ヤツ等の事だから、まーたねちねちネチネチ言ってくるだろーと思ってたんだけどよ。

「ふん、あんな奴等の耳障りな声など無視したに決まってるだろうが」

 ちろん、と横で腕組しながら壁に凭れてるにーさんを見上げたら、すっげ低い声が返って来た。

「・・・・・・あ、さいですか・・・・・・」

 顔の筋肉引き攣らせつつ、さしあたりなーく、返す。





 ・・・・・・に、しても。なぁんか今日のにーさん何時もより機嫌悪いなー。

 や。ココ数日ずーっと作り笑顔の裏で不機嫌だったけどー。

 CM撮影とかポスター用の写真の撮りとかは昨日で全部終わったんだからさー。

 もーそろそろ機嫌直してもいーんでないの?

 ・・・・・・・・・・・・って、今の不機嫌の理由がソレじゃねーのは判りきってんだけどな・・・・・・・・・・・・

 俺はついーっと、にーさんの不機嫌の原因に目を向ける。





「・・・・・・クラウド、んっとに楽しそーだなー・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・ふん」

 あ。やべぇヤブヘビだった。

 新車相手に目を輝かせてるチョコボ頭・・・・・・の先にある新車に、にーさんの目の剣呑さが増した。





 ま、判らないでもねーよ?

 クラウドのヤツこっち着いた途端、俺等も打ち合わせもそっちのけで新作のデイトナにばびゅん!!だもんな。

 俺だって、ヤトちゃんにんな事されたらかるーくムクレるっていやマジで。





 そのヤトちゃんはタダイマ。

 ドコドコと、カメラやら機材やら運び込まれてくる端で監督さんからお話を聞いてる最中だ。





 紺のスリムデニムと白いノースリーブのタートルネック、上からやっぱり紺のデニムジャケット、って出で立ち。

 初めてマトモに見た私服姿がこんなシンプルイズベストな格好なんて・・・・・・って、別に期待してたワケじゃねーけど。

 時折強い風でジャケットがずり落ちて、顕になる肩がどことなくせくしー。

 やー目の保養目の保養。





「・・・・・・・・・・・・鼻の下が伸びているぞ」

「はっ!?うっそマジでゴメンナサイヤトちゃんせくしーvvなんて疚しい事これっぽっちも思って無いから!!」

「そうか――――――おい、クラウ・・・・・・・・・・・・」

「だぁぁぁああっっ!!お願いぷりぃずソレだけはっっ!!」





 壁からちょっとだけ背中浮かせて怖い事しようとしたにーさんの口を慌てて両手と大声で塞いだら。

 もーコレでもか、ってなくらい、まさに悪役のお手本みてーな、意地の悪い笑み。

 ・・・・・・・・・・・・アンタいちおー『英雄』だろーがよ・・・・・・・・・・・・

 がくー、って項垂れたら、後ろから呆れたよーな声が飛んで来た。





「何やってんすかサー」

「ああ、サリカか。実はな・・・・・・」

「いいいいいやいやいや、なんでもねーなんでもねー」

 ホント頼むから変な事言い触らすな、ってにーさん睨み上げ。

 ワタワタしながら言ったら、サリカは首傾げてたけどソレ以上のツッコミは控えてくれた。

 そんな俺等に、にーさんは俺の背後でクツクツ笑ってやがる。





 ・・・・・・ちくせう。不機嫌ちっとばかし緩和したのはいーけどよー・・・・・・

 今度やったらクラウドににーさんの今までの交遊関係ぜってーバラしてやる。





「何、大した事じゃない――――――ところで、他の奴等は如何した?」

 サラリと流すくれーなら最初ッからやんなっての。

「もう来ますよ・・・・・・てか、来ました」

 んで、にーさんの声に背後を見たサリカの目の先には、ぞろぞろ・・・・・・つっても3人だけどコッチにやってくるソルジャー陣。





「すみません、遅れましたか?」

 開口一発目がコレで、思わず苦笑しちまった。

 いっつも几帳面なリードだから、自分達より先に上司である俺等が先に来てたコトに慌てたんだろう。

「いや。ちゃんと予定の10分前だ」

「俺等が早く来過ぎただけだって~」

 つーか早く『引き摺られて』きた、だよなー正確には。

 撮影ん時は遠巻きで見るだけしか出来なかった新作、今日は近くで見てイイってゆわれたもんな、クラウド。

  ヤトちゃんはヤトちゃんで、打ち合わせとかギャラの確認とかあるでしょーが、なんてゆってくれちゃってさ。

 そんなこんなで朝早くから叩き起こされましたよ俺もにーさんも。





「お疲れ様っすサー・セフィロス、ザックスも」

「おー。」

 レオンの声にしゅたっ、と片手を上げて返す。

 したら、横のガイルが首を傾げて俺とにーさんを見た。

「あれ、めっずらしー今日は2人だけ?」

「2人だけ?って?」

「いやカワイコちゃん達の姿が見えないなー、と」

 か、かわいこちゃんって・・・・・・ガイル、ソレ本人達の前で言ったら寿命縮むぞ。

 つか、俺等ってそんないっつも一緒ってカンジに見られてんだ。

 ・・・・・・・・・・・・いや、実際仕事中はいっつも4人中の誰かと一緒だけどさ・・・・・・・・・・・・





 そんな、時。





「サー」

 うん?

 不特定多数の呼び掛けに、振り向いた先には案の定。

「あ。ヤトちゃーんvv」

 なもんで、ついつい何時もの調子でガバッと抱き着いちゃいました。てへ。

 ――――――瞬間。ゾクリと背筋を奔った悪寒。

 んで、ヤトちゃんを腕ん中に収めたままそろ~りそろりと振り返ってみたら。

 ・・・・・・・・・・・・やっぱり何時もと同じパターン。





「・・・・・・・・・・・・何を、なさっておいでですソルジャー・ザックス?」

「・・・・・・いいいいいやいやいやいや、そそそそその~・・・・・・」

 さ、サワヤカな笑顔もこめかみに青スジ立ててたら台無しですよ、クラウドくん。

 つかお前新車目の前にしてトリップしてたんじゃなかったのかよ!?

「・・・・・・・・・・・・今日という今日は、一から躾をし直さんといかんな」

「・・・・・・えええええんりょしますぅ・・・・・・」

 だ、だからにーさん、その、その指ぺきぽきぱきって、ソレやーめーてー。





「「問答無用(です)。」」

「うっぎゃ~~~~っっ!!!」

「はいストップ」

「・・・・・・・・・・・・って、え?」





 思わず目ぇ瞑ってぎう!ってヤトちゃんに抱き着いてた腕に力込めたんだけど。

 予想してた跳び蹴りも右ストレートもなくて、きょとん、として。

 見てみたら、にーさんとクラウドに手で制止をかけてるヤトちゃんの姿。





「クラ。何度も言ってると思うけど、コレでもサー・ザックスは俺達の上司先輩憧れの的ソルジャーなんだから」

 社内なら兎も角、公衆の面前で神羅のイメージ貶める行動は控えてよ。

「・・・・・・・・・・・・了解」

「サー・セフィロスも。たかがスキンシップ如きで目くじら立てるのはやめて下さいね」

 『英雄』の威厳ガタ崩れなくらい大人気ないですから。

「・・・・・・・・・・・・判った」





 おお。出たよヤトちゃんの必殺ズバッと攻撃。

 にーさんとクラウドが一気に撃沈。

 リード達のかぱんと開いた口がおもしれー。





 1人にっしっしっ、て笑ってたら、くいって首だけ俺の方に向いたヤトちゃんが、華も綻ぶ様な笑顔を見せた。





「ソレから、サー・ザックス」

「はいは~いvv」

「コレ以上ないくらい途轍もなくウザイので離れて下さい」





 ――――――びし。





 笑顔のまま固まった俺の腕の中から、するり、と抜け出すヤトちゃん。

 そんな俺に、にーさんとクラウドはやっぱし例の如くふふんと鼻で笑って。

 ヤトちゃんは既に、俺ん事なんか無視して其れでは今日のスケジュールですが・・・・・・なんてやってる。

 ・・・・・・そーだよな・・・・・・ヤトちゃんっていっつもこんなカンジだったよな・・・・・・

 何時もの事なのにあっさり引っ掛かる自分がムカつくーーーーっっ!!





 ちょっとどころか、かなりブルー入った俺だったけど。

 とりあえず、ぶはっ!!と吹き出したガイルにヘッドロックをかますのは、忘れなかった。

























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