「何事だ!?」
「サー・セフィロス!!」
「モンスターです!!」
殺気の感じた方向へと繰り出せば、一足速くリードとヴァリスが其処にいた。
当り前が。ヤツ等は俺の隊の一員、ソルジャー統括部隊に所属するのだから。
――――――だが、問題は。
「クラウド、、下がれ」
リードとヴァリスの影になる様に連射銃を構えていた2人に、言い放つ。
案の定クラウドの方は噛み付いて来た。
「っ、しかしサー!」
全く、負けず嫌いも此処まで来ると感嘆ものだな。
だが。
「下がれ。アレは恐らく、ソルジャーでなければ倒せん」
相手の力量を瞬時に見極める事も、優秀な兵士には必要。
「・・・・・・・・・・・・イエス・サー」
「了解致しました」
・・・・・・はそうでも無いが、クラウドの方は不満そうだな。
だが、何があろうとお前達2人には、絶対に下がっていて貰う。
傷を負わせたく無いから。
況してこんな処で、死なせるなど持っての他だ。
じり、と。
ゆっくりゆっくり、後ろへ下がる2人の代わりの様に、ザックスがひたり、と俺の隣に着く。
そして、俺達が対峙しているモノに目を向けて、低い呟きを漏らした。
「・・・・・・・・・・・・をいをいをいをい・・・・・・・・・・・・なーんであんなのがこんなトコにいんの?」
「知るか。本人に聞け本人に」
吐き捨てながら、ザックスからそろりと渡された『雷』と『炎』のマテリアをバンクルに嵌め。
ちきり、と正宗の切っ先を向けた其の先には。
頭だけで3メートル、全長40メートルはありそうな、大蛇。
「・・・・・・ミドガルズオルム・・・・・・にしては、大きさも色も違う様だが」
以前見たものの倍以上はある。鱗も、こんなに鈍く光る硬質的なものでは無かった筈だ。
「・・・・・・ソレ以前にふつーこの辺りにゃ生息してねーハズなんだけどなー・・・・・・」
「恐らく、亜種かと」
「モンスターの血を嗅ぎ取って此処まで来たのかも知れません」
「だろうな」
リードとヴァリスの言葉に軽く頷き、俺は注意深く相手の動向を見る。
其の亜種も又、此方の出方を待っている様だ。
頭も良いのかコイツは・・・・・・いや、野性の、狩人としての本能か。
何はともあれ、俺以外のヤツには・・・・・・ザックスやリードでも、荷が重いかも知れん相手の様だ。
「ヴァリス、お前は一般兵達を」
「了解です」
「リードは魔法で俺の補佐に回りつつ、他に魔物がいないか周囲を警戒」
「イエス、サー」
「んじゃ俺ヴァリスと一緒にちゃん達守ってる」
「頼む」
一言。
化け物の注意を引き付ける為に、正宗を下段に構えつつ大地を蹴る。
すると相手は的を俺に絞り、大きな鎌首を鞭の様にしならせ牙を剥き出した。
「おらっ、いつまで固まってやがる!?速攻で第1警戒体勢!!」
「其処のお前、至急アイザック班へ無線連絡を!!」
「回復・バリア系のマテリアを持っている者は前へ!!」
ザックスとヴァリス。そしてリードの怒号を背後に、正宗を振り上げる!!
ぎぃん!!――――――と、鳴った刃が、手に振動を伝えた。
喉元を狙ったつもりだったが、牙に阻まれたか。
しかも、其の間に懐に潜り込んできていた、大蛇の尾。
・・・・・・・・・・・・図体の割に、速い!!
咄嗟に後ろへと跳んだが、其れでもしなる尾は俺の腹部を捉え、俺の身体を吹き飛ばす。
「っっ!!」
俺は空中で身体を捻り、開いている手を支えにする為地に着けた。
ずざざっっ、と立つ土埃。完全に勢いを殺して着地出来たのは、数メートルも後方で。
其れに・・・・・・厭な、音がした。此れは、肋骨の1・2本はやられたな。
背骨が折れなかっただけ、マシか。
ふらり、と揺れる身体を叱咤しながら立ち上がれば、大蛇が大口を開けて突進してくる。
俺は正宗を正面に構え直し、迎え撃つ体勢を整えた。
――――――と。
轟っっ!!
俺と大蛇の間で、突然上がった火柱。
そして、俺の全体を覆う淡い緑の光。
「ザックス、今の内に!!」
「おう!!回復はコッチに任せて、にーさんとリードは思う存分やっちゃってくれていーから!!」
「言われずとも!!」
リードとザックス、2人の言葉と、細胞が活性化される感覚に、一言返し。
炎によって生まれた隙。俺は其の好機を逃す事無く、奔り、跳躍した。
消え行く火柱を飛び越し、長い長い胴に刃を突き立てる。
硬い鉄色の鱗の所為でそんなに深くは刺さらなかったが、大蛇は猛々しい鳴き声を上げ俺を振り落とそうと身をくねらせた。
「『サンダガ』!!」
俺は其の動きに逆らわず、刃を抜き飛び降りながら『雷』の最上級呪文を叩き付ける。
青白い雷光に打たれた身体は、地面の上をもんどり打った。
しかし此れ位では、致命傷には至らない様だ。
・・・・・・・・・・・・何気に対魔法防御も高いのかコイツは。
憤怒に彩られた目を俺に向けながら、噛み付こうと飛び付いて来る大蛇。
リードが放つ炎や風の魔法も、奴には目晦まし程度にしかなっていない。
俺は間合いを取りながら、再び雷を落とす為に集中する。
――――――其の、時だった。
「うわぁあ!!」
「も、もう一匹いるぞぉ!?」
兵士達の上げた、そんな悲鳴が耳に届いたのは。
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