「サー・セフィロス!!」
「サー・ザックス此処っすか!?」
ばった――――んっっ!!
と、蹴破る勢いで開いた扉と大音響に、其処彼処で銃を落としたり誤って引鉄を引いてしまったりする兵士が続出する。
かくいう私も驚いた・・・・・・心臓が飛び出るかと思ったくらいには。
一体何事かと振り向けば、飛び込んで来た2人はゼイゼイと肩で息をしていた。
確か・・・・・・1stのアイザック・ウォードと、3rdのフェイ・レイ、だったか?
2人共、剣技の教官として第3訓練場にいた筈。
そして時間的に、訓練は未だ続行中だ。
「・・・・・・・・・・・・何事だい?」
「ああ申し訳ありません副社長視察中に少々サー方をお借りしても宜しいでしょうか!!」
「一刻を争うんですお願いします!!」
・・・・・・・・・・・・必死だな。此れで嫌だと言ったら実力行使に出られそうだ。
と、いうかね。私は何事だ、と聞いたんだけれども。もしかして耳に入っていなかったのかい?
一杯一杯な感じからして、多分そうなんだろうけども。
「・・・・・・落ち着け、2人共」
「どしたんだ血相変えて。なんかあったのか?」
「「あの2人を止めてください!!」」
今回私の護衛を渋々承諾した2人の言葉にも、まともな返答は返って来ず。
――――――って、止めてくれ?あの2人を?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。今、途轍も無く綺麗な顔が2つ脳裏を横切ったよ。
「一応参考として訊ねるけどあの2人って?」
「「クラウド・ストライフと・の2名です!!」」
・・・・・・やっぱり・・・・・・
確かにあの2人、今日はアイザックとフェイが見ている訓練に参加しに行ったな。
下士官だからといって始終セフィロス達の後ろに待機している必要性は無いでしょうとか言って。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アイツ等は。一体何をやらかしたんだ?」
「イエ別にとんでもない事を仕出かしたってワケじゃないんですけど!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ大体の予想は付くんだけどなー」
「オレだって予測は付いてましたよでもですねぇ!!」
しみじみ呟くセフィロスと苦笑するザックス。
逆に、アイザックとフェイの熱はヒートアップしている。
・・・・・・・・・・・・本当に、一体あの2人は何を仕出かしたんだろうね?
「アレはもー見てるコッチが気の毒っていうか何ていうか!!」
「そりゃ悪いのは最初に喧嘩売ったアッチだって判ってるんすけどね!!」
「加減無さ過ぎです何事にも限度があるでしょう!!」
「訓練中に死人が出たなんてシャレになんねぇっすよイヤ実際出てませんケド!!」
――――――そうか。
よりにもよって、クラウドとに喧嘩を売った兵士がいたのか。
どうせ例の如く有りもしない噂をネタにしたんだろう。同情の余地は無しだな。
ほら、セフィロスとザックスも、自業自得だと顔に書いてあるぞ。
「んなに言うなら止めりゃいーじゃん」
「何の為にお前達ソルジャーを教官にしたと思ってるんだ」
「「イヤですよオレ未だ死にたくありません!!」」
うわ。そ、即答だな。
しかも死にたくない、って。ソルジャーに其処まで言わせるなんて。
そんなに手が付けられない状況にまで陥っているのかあの2人?
「大体何ですかあのクラウド・ストライフ!!仮にも1stのオレの剣戟軽々受け流してそりゃ手加減はしてましたけど!!」
「・の方なんか速さだけ見りゃ下手すりゃオレより上いってますよ!!」
「あ。いちおー止めようとはしたんだな」
「で。返り討ちにあった、と」
「「笑って言うコトじゃなぁぁああいっっ!!」」
楽しげな上官2人組に、最早アイザックとフェイは半泣きだ。
銃撃の訓練に入っていた兵士達も、集中出来ずに聴覚は此方の遣り取りに向けている。
しかし、強いとは思っていたが・・・・・・其処まで、とはね。
「ってゆーかアンタ方にも問題あるんじゃないですか!?」
「日頃溜まった鬱憤ここぞとばかりに発散してやるって言ってる様なオーラがすっげ黒くて怖いです!!」
「ストレス解消で訓練どころか兵士全員潰されたらたまったもんじゃありませんよ!!」
――――――あ。何だい、ザックス。今凄く、心当たりある様な顔をしたね?
・・・・・・・・・・・・セフィロスも。一体、何処に視線をやっているのかな?
「――――――・・・・・・・・・・・・セフィロス、ザックス」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何でしょーか副社長」
「直ちに第3訓練場に行って、クラウドとを止めてくる様に」
何なんだろうね、其の冷や汗は。
ほら、無理矢理浮かべた笑みまで引き攣っているよ?
「・・・・・・別に俺が行かなくともザックス1人で充」
「2人共、直ちに行って」
「・・・・・・イヤお楽しみのトコ邪魔しちゃ悪」
「止めてくる様に」
「・・・・・・・・・・・・護衛対象から離れる訳には・・・・・・」
「なら私も行こう」
此れでも私は副社長なんだ。一応だが君達の上司に当たるんだよ。
こんなに大勢の部下の目の前で、命令違反は、出来ないよね?
勝ち誇った笑みを浮かべる私に、セフィロスが溜息を吐く。
ザックスの方は、心無し顔色が悪い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなに怖いのかい?あの2人が切れると。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・了解した」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行きたくねぇーよぉー」
心底気の進まない様子が、余りにも嫌そうで。
少し、可哀相な事を言ったかな、と思ってしまった。
・・・・・・まあ、良いか。アイザックとフェイは漸く一息吐けたみたいだし。
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