俺、1番初めに言ったよな?
今超絶に機嫌が悪いって。
何故かってそりゃ、苦労してくすねた紙で作った『式』はズタボロにされるし。
ロイには怪我させるし。
一応俺コイツに今お世話になってんだぞ?
挙句俺にまで喧嘩売ってきて?
コイツラ。
バカなんじゃねぇの?
ふしぎのせいねん
「撃て――――――っっ!!」
「っっ!!?」
「風の盾」
誰かの号令で、一斉に火を噴いた銃口に。
まあ予測は付いてたから大気を動かして突風を起こす。
息を呑んでギュッとしがみ付いて来たロイの足を降ろしながら。
だけど左腕はまだロイを抱いたまま。
そしてその顔を、自分の肩口に押し付けた。
「っ、何・・・・・・・・・・・・」
「上げるな」
身を捩るロイの自由を、左腕一本で奪って。
左手で、後頭部を固定して。
「顔を上げるな――――――多分、アンタには耐えられない」
さっきのアレであれだけ怯えてたんだ。
多分どころか、絶対耐えられない。
「何が聞こえても、何を感じても。顔を上げるな」
リングの光る右腕を、翻す。
鋼糸には俺のチャクラ流してるからな。
俺の思い通りに動く。
鉄すら真っ二つにする強度なんだから、人間なんて脆い肉なんか、コマ切れ同然。
「っぎゃあああっっっ!!!」
「ぐぅおっっ!!?」
耳障りな断末魔の叫びと共に。
ごろごろと面白いくらいに落ちていく手や足や頭。
ああ、ホント久しぶりだ。
肉塊が大地に降り注ぐ様を見るのは。
ついでに残骸燃やしてやる。散らかしっ放しは良くないからさ。
ちょっと念を込めれば簡単。
人間の脂肪は良く燃える。
俺の操る火力も、サスケ程じゃないけどけっこー強いから。
ソレに、大気――――――風が俺の火を煽ってくれる。
公式も手順もはしょりまくりの、仮、だったけど。
取り敢えず、血の契約交わしておいて正解だった。
後で正式に契約しとこう。モチ、他の元素とも。
「がぁあああああっっ!!」
それにしてもマジ五月蠅い。
つか、まだ口利ける・・・・・・悲鳴上げれるヤツがいたのか。
根性あるよな。身体の何処かしら落とされて、火に巻かれてんのに。
でももーそろそろ大人しくなってもらわないと。
さっきから、悲鳴響くたんびにロイがビクついてんだから。
くん、と右の人差し指を折り曲げる。
途端呻いているヤツラの首が全部落ちた。
ぴたり、と止まる悲鳴。
よし。コレで静かになった。
だけどソレはソレで、今度は匂いが鼻に付く。
こんがりウェルダンどころか、骨まで灰、だからなー。
・・・・・・当分肉食いたくねー・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ん。もーいーよ」
圧迫していたロイの後頭部を放してやって。
いい加減息苦しかったんだろーなー。
大きく息を吐き出してから、眉を顰める。
ソレからぐるりと辺りを見回して。
そろりそろり、と俺の顔を見上げて来たロイの目には。
――――――やっぱり、心底からの恐ろしさ。
「・・・・・・・・・・・・何を、したんだ・・・・・・・・・・・・?」
「コマ切れサイズにバラして焼いた」
恐々とした質問に。どーでもいい様に、当り前の様にアッサリと。
ロイの肩が小さく戦慄く。
影も形も無くなったヤツラの辿った末路。
耳の奥に残る叫びと肉の焦げた様な残り香。
殺戮の跡は、血を吸った大地だけ。
言わなくても判るだろ?
「・・・・・・・・・・・・君は・・・・・・・・・・・・一体・・・・・・・・・・・・」
恐怖に顔を引き攣らせながら、ソレでも訪ねてくるその気丈さ。
震える唇は血の気を無くした、太陽光に透かした紙の様な薄紫色。
「何者なんだ?」
恐れながらも前へ行く。
キライじゃない、タイプだね。
思い出すよ、アイツラを。
「さて、ロイの目には何に映る?」
問い掛けに問い掛けで返して。
口を噤んでしまったロイに。
俺は小さく苦笑した。