俺の右腕に光るシルバァのリングは、俺のお手製。

直径1センチくらいの丸い棒を、そのまま円にした様な。

そんな、しんぷる〜なヤツなんだけどね。





俺が、俺の為に、作ったヤツだ。

中に鋼糸が仕込まれてたって・・・・・・可笑しくはないだろ?




 




 




 




 




 




 
ふしぎのせいねん




 




 




 




 




 




 
取り敢えず邪魔っ気な銃器類を輪切りにしようとしたんだけど。

メンドーだから、持ってる腕も輪切りにしてやった。

武器が壊れて腕も無くなった最前線の2〜3人は、耳障りな声を上げてのた打ち回ってる。





「同士っっ!!」

「貴様っ!!何をしたっっ!!?」





慌ててソイツラ収容しようとする後ろのヤツラの言動が、またバカらしー。

ココ、もしかしなくても戦場だろ?

他人の事より、自分の心配しろよ。





一歩。一歩、とゆっくり前へ踏み出して。

気付いた褐色肌がガチャッと銃を持ち上げたと同時に。

すい、と。





「っっ!!?消えただと!!?」

「テメェが遅いだけだ。誰が消えるか。このバーカ」





驚きの声の真後ろで、そう、吐き捨ててやり。

振り向く間も与えず、その後頭部を片手で掴んで――――――





ぐしゃっ!!

ヒサシブリの、感触。

随分とご無沙汰だったけど。





「うーわー。握力落ちてないじゃん、俺」





蛮のスネイク・バイトと、タメ張れそう。

真横にあった壁に押し付けて潰してやったソイツの頭。

石の灰色はソコだけ、投げ付けられて潰れたトマトの跡みたいだ。





ちら、と周りを流し見れば、顔色を無くした男達。

ま、そらそーか。

目の前にいたヤツが、何時の間にやらど真ん中にいて、しかもお仲間さんの頭、手で潰しちゃったんだもんね。





煽ってやりましょう。その恐怖を。

にぃ、と口元に笑みを乗せた。





そしたらもう、一目散に逃げる逃げる。

負傷したお仲間さんを見捨てて。

仕方無いっちゃー仕方無い。

ソレが普通の反応だ。

絶対的な恐怖はパニックを引き起こすから。





だけど最後に手榴弾を投げ込んできたのは、ちょーっとイタダケナカッタかなぁ?





「土遁、埋波の圧」





素早く印を組んで地中深く手榴弾を沈めてやった。

鈍くぼんっ!!とかゆう爆発音。





見捨てられた褐色団体のお仲間さんを見下ろせば、無い腕と足バタつかせてヒィヒィ言ってる。

見苦しいなぁ。

でもやっぱメンドーだから、そのまま放っとこ。

わざわざトドメ刺さなくても、今のこの状態じゃコイツラ出血多量で逝っちゃうし。





・・・・・・ん?出血多量?

あ。そだ。ロイ怪我してんだっけ。





「ロイ、だいじょ――――――」

「っ触るなっっ!!」





ぱんっ、と。

てけてけ近寄って伸ばした手は、速攻で叩き落とされた。

ずりずりと、靴の裏を引き摺る様に後退しながら。

俺を睨み付けるロイの黒い目に映るのは、確かに俺の顔と・・・・・・恐怖。





「・・・・・・・・・・・・君は一体、何者だ?何者なんだ?」

「・・・・・・あー、取り敢えず落ち着いて、な?」

「触るなと言っているっっ!!」





ぱんっ、と。もう1回。

声まで震えてる。

思わず小さく笑ってしまった。

だってこのロイが。この、ロイですら。

『化け物』と陰口叩かれる『人間』ですら、本物の『化け物』は、怖いなんて。





いや――――――そうだな。普通は、コレが当り前の反応なんだよな。





「・・・・・・取り敢えず、俺らもココを離れるよ。近くにマース、置いて来てるから」

「だから触るなと――――――ぅわっっ!!?」

「はーいはいはい暴れないでねー。」





逃げるロイをムリヤリ捕まえて、ひょいっと担ぐ。

俵担ぎは不評だったみたいだから、今度は横抱き。オヒメサマ抱っこ。





そしてもう殆ど虫の息な褐色さん数人を跨いで。

瞬間冷凍みたくカチコチに固まったロイを抱えたまま、俺はてけてけ歩き出した。

・・・・・・薄暗い路地を出た途端、一斉砲火を浴びるハメになったけど。





ああ、もう。

コレ以上ロイを怯えさせたくないから自重しようと思ってたのに。

不機嫌、再発。




 




 




 




 






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