ミヤギとトットリは、呆然とした。

押し付けられた仕事は大して難しくも無く。予定よりも早く終わった。

後は書類を纏めるだけだ。けれど一応、報告を先に、と。

以外に入り組んだ建物内。近道として横断しようとした、中庭で。



「・・・・・・・・・・・・植木屋さんでも、入ったっちゃ?」

「・・・・・・・・・・・・植木屋さんは木を切り倒したりしねぇと思うべ」



沢山植えられていた植木の約半分。

突風に煽られた様に倒れていたり、木端微塵にされていたり、火の粉を燻らせていたり。

綺麗に敷き詰められていた筈の天然芝は地面まで掘り起こされ、見るも無残な姿。

しかも、良く見れば所々、建物の壁が陥没している。



「シンタローとアラシヤマが喧嘩したとか?」

「にしちゃあ、被害が少ねぇべ」

「だっちゃなぁ」

「・・・・・・・・・・・・どーゆー意味だオラ」

「「ぅどわっっ!!?」」



突如背後から掛けられた低い声に、二人揃って飛びずさる。

恐る恐る振り向けば、其処には腕を組んでいる総帥の姿。

其の後ろには、炎使いと侍が困った様な顔をして立っており。

更には総帥の分身や弟、元赤の番人までが揃っていた。



「お、おどかすないやシンタロー」

「そうだっちゃ。ソレよりも・・・・・・コレ、どげんしたっちゃ?」

「喧嘩どす」

「「はあ?」」



炎使いの科白に思わず声が揃った。

いや確かに自分達も一等初めに喧嘩だとは思ったのだ。

しかし、速攻で脳裏に浮かんできた二人の姿は、今こうして自分達の直ぐ傍にある。

ならば誰と誰の喧嘩なのだ、と。考えを巡らせてみるが判らない。

首を傾げた処に、視界の端で人影が走った。

思わず其方に視線を移す。其れは二つの、小さな――――――



「・・・・・・・・・・・・子供!?」

「って、なしてココに子供がいるんだべか!?」

「・・・・・・あー、詳しい事は後で話す――――――に、しても」



身を乗り出してきた二人をあしらい、総帥は影に視線を戻す。

素早い動きだ。肉眼で捉えるのがやっとな程の。

中庭は既に燦々たる有様で、彼等が動く度にまだまだ被害は拡大する。

感心と呆れと戦慄と。

綯い交ぜになって何が何だか判らなくなってしまった溜息を吐きながら。

総帥は、小さく呟いた。



「・・・・・・十やそこらのガキが、ココまでやるか、普通?」




 




 




 




 




 










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