人を、物か何かの様に扱った事は、あった。

 命を、躊躇いも罪悪感の欠片も無く、容易く屠った事は。

 未だ団の体制が変わる前。自分達が、殺し屋集団と呼ばれていた頃だ。

 彼の優しい島に措いて、自分達は大なり小なり変わったが。

 覆されぬ過去。

 他者を殺した事が有る。

 傷付けた事など、幾らでも。



 しかし。

 しかし、其れすら。

 何て、生温い。



「も・・・・・・もう止めなはれ・・・・・・!!」

「遣り過ぎじゃあ、おんし・・・・・・!!」



 身体は、動かなかった。

 制止の言葉を投げ掛けるのが、やっとだった。



 見知らぬ男は、既に虫の息。

 新たに引き千切られたのは、左の足。

 抉られた、右目。

 自身の得物であった筈の刃物で、何度も胴を穿たれ。



 不殺を掲げた筈の男達ですら、思わず願う。

 いっそ一思いに、首を切り落とした方がどれ程楽か。



 しかし少年は能面の様な顔を少しも崩す事無く。

 ずぶり、と腹部の傷に手を突っ込んだかと思うと。



「――――――――――――っっっ!!!」



 声にすら成らぬ、悲鳴。

 内部で掴んだ臓物を、引き摺り出し。

 血に塗れた紅い肉に。

 思い切り噛み付いて、引き千切った。













































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