世の中には、科学や論理では解決出来ない様な不思議というものが存在する。

 自分達一族が持つ力にしてもそうであるし、何より嘗て暮らした事のある、楽園とでもいうべき彼の島は、其の宝庫だった。

 そう、だから免疫はあるし理解もある方だ。突拍子も無い出来事には。

 だがしかし。

 許容出来るかどうかは、其の時々によるもので。



「・・・・・・つっ・・・・・・」

「・・・・・・っって〜〜〜・・・・・・」



 意地でも欠かした事は無い家族揃っての昼食時。

 可愛い弟と、気心の知れた分身と、幼さの残る従兄弟と、久しぶりに顔を見せた麗しの叔父と。

 まあ別にいてもいなくてもどっちでもいい父とで囲んだテーブルの上。

 突然起こった濛々とした白煙が、大した時間も掛からずに散ったかと思えば。

 幾つもの皿と、残骸になってしまった料理の上。

 其処にいたのは、二人の少年。



「・・・・・・あー、あのね、食事の最中にテーブルの上で寝っ転がるのは、とってもお行儀が悪いよ?」

「ツッコミどこはソコじゃねーだろーが親父!!イヤ確かに行儀悪りーけど!!」

「落ち着けシンタロー。叔父貴も。取り敢えず給仕を呼んでココを片付けさせろ。ソレから新しく昼食の準備を」

「って昼食!?先に昼食!?違うだろまずココはコイツラの事だろ!?」

「だから少し落ち着きなさいシンタロー。キンタローも、此処はシンタローの言う通りだ」

「ああっ、麗しの叔父さんっ。良かった叔父さんだけはマトモな思考の・・・・・・」

「見事に料理の中にダイブしたから服がべとべとだ。先ずはシャワーと着替えだね」

「ふむ、其れもそうだな・・・・・・しかし、団内に子供用の衣服など置いてあったか?」

「はいはーい。僕の服ならあるよ」

「コタローの服だと少し小さくないか?」

「あ、そっか。そう言われてみればそーかも」

「シンちゃんやキンちゃんのは大き過ぎるし・・・・・・取り敢えずは僕の服で代用ってコトで」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 嗚呼万歳平和ボケ。

 和やかなムードに此れ以上付いていけず、新総帥は怒鳴る気力も失せた。

 そして、付いていけなかったのは卓上の少年二人も同じで。



「・・・・・・えーと・・・・・・」

「・・・・・・此処は、何処だ?」

「ついでにドチラサマ?」



 イヤソレはこっちが聞きたいです。



 小さな声で訊ねて来た少年二人とバッチリ視線を合わせ。

 新総帥は、珍しくも大仰な溜息を吐いた。




 




 




 




 




 










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