日もとっぷりと暮れた宵闇刻。

敵は一時撤退したものの、膠着状態が続いている中。



「向こうもいい加減シツコイっちゃねー」

「まあなあ。じゃけえ、一番厄介なんばやっぱアレじゃろ。ほれ、四国・・・・・・」

「告死兵団どす。こないな時にそないな笑えんボケかまさんといてや」

「おう。スマンスマン」

「せやけん、確かにあん部隊意外はハッキシ言うて雑魚だべな。アソコさえどげんかなったら」

「だからソレをどうするか話し合ってんだろーが」



今回の遠征に勢揃いした、伊達衆と新総帥が顔突合せ。

今後の作戦を、ああでもないこうでもないと話し合っていた中で。

どだだだっ、と近付いて来た荒々しい足音。

思わず、敵襲かと全員が腰を浮かせ緊張したが。



「おいっっシンタロー!!!」



叩き壊さんばかりの勢いで、扉を開け放ち室内へと。

表れた姿は、良く知ってはいるが予想はしていなかった者。



「何だ、ジャンか」

「おどかすないや」

「んだべ」



ほう、と思わず息を吐き、椅子に座り直す四人に、突然の乱入者は肩で息をしたまま。

思わずアラシヤマがそろりと立ち上がる。



「どないしはりましたのん、そない血相変えて・・・・・・」

「何なんだよアレ!?どーゆー事だよ一体!?」



しかし乱入者――――――ジャンはアラシヤマに眼もくれず、一目散にシンタローへと詰め寄って。

迫られた方はといえば、話が見えずに、首を傾げるばかりだ。



「はあ?何の事だよちゃんと判る様に話せよ」

「あの兵士だよっっ、お前が今日拾って来た!!」

「ああ、あのクソ忌々しい部隊の」



漸く出てきた主語。

アレが如何かしたのかと、シンタローが言い終わらない内に。

彼等が囲んでいたテーブル。地図が広げられた其の上。

バンッ!と叩き付けられたのは一枚の検査報告書。



「何だコレ」

「見ても脳ミソまで筋肉で出来てやがる戦闘バカのお前等には理解出来ないだろうから逐一説明してやる。喜べ」



一斉に視線を上げた五人に、ジャンは押し殺す様に声音を低くし。

込められた痛烈な皮肉にムッとしつつ、しかし誰もが何も言い返せなかったのは。



「アイツの体内から尋常じゃない量の薬物が検出された」



怒鳴り込んで来た時とは真逆に、淡々とした口調で。

本当に、心の底からの憤怒に満ちた彼の表情を、目の当たりにしたから。



「普通の人間なら、投与された瞬間にショック死していても、全然可笑しくないぞ」




 




 




 




 




 










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