空は蒼天。
己の虹彩の色に良く似た其れを忌々しげに睨み上げ。
少年は、心情のままに荒々しく枝を蹴る。
「・・・・・・ったく・・・・・・一体何処にいるんだ、アイツは・・・・・・!」
思わず零した声には焦燥。
もしかしたらこのまま見つからないのではと、嫌な考えが脳裏を過ぎり。
慌てて頭を振って其れを蹴散らす。
人間、疲れている時には思考もマイナスになるものだ。
捜索は、連日早朝から深夜にまで及び。
睡眠時間を削って走り回っている為、体力にも限界が近付いている。
ふ、と。背後に知った気配を感じ、ちらりと視線を向ければ。
視界に映る、夜を凝り固めた様な黒。
「南には其れらしい形跡は無かった」
「そうか」
淡々と言われた言葉に、小さく頷き返し。
「一度皆の処に戻るぞ」
「ああ」
金の子の言葉。黒の子に否やは無く、
二人が駆けるは神有の森。
昔から、人を隠し飲み込み其のまま返さなかった神秘の。
「・・・・・・何処行きやがったんだよ、・・・・・・!!」
其の森で消えたのは、闇に名を轟かせた忍、一人。