「ま、簡潔に言うとお・・・・・・紅せんせとアスマせんせとカカシせんせの三人に、急にSSランクの任務が入っちゃったのさ」

「で、他に手の空いてる忍がいなかったから、急遽アンタに白羽の矢がたったって事かよ?」



 のほほんのほほん、と。

 集まった子供9人に短く説明すれば、「大丈夫なのか」と云うナルトとサスケ以外の7対の疑わしげな視線がに突き刺さる。

 何が、と首を傾げると、胡乱な眼差しはますますキツくなった。



「・・・・・・いくら人手不足っていったってねぇー」

 いのが溜息混じりに漏らせば。



「・・・・・・昨日忍になったばっかの人間を下忍の担任に使うなんてな」

 やってらんねー、とばかりにキバが悪態を吐き。



「・・・・・・常識外だ」

 静かにシノがぽつりと零して。



「・・・・・・メンドクセェ事になっちまったな」

 けっ、とシカマルが吐き捨てる。



 その端で、ヒナタとサクラは困った様に苦笑を浮かべ、サスケは相変わらずの無表情。

 チョウジは元から気にしたふうでもなくバリバリとお菓子を頬張っている。



 1人、反発を見せたのはナルトだ。



にーちゃんをバカにすんなってばよ!!にーちゃんはな、オレ等よりすっげーすっげーつえーんだかんな!!」

「ケッ、お前の言う事なんかアテになるかよ」

「なにおーーーーっっ!!?」



 むきーっ!!とキバに飛び掛ろうとしたナルトを宥めに入ったのは、矢張りと云うかだった。

「まあまあナルトもキバも。落ち着いて落ち着いて」

「何だよにーちゃん!!自分がバカにされてんだぞ!!?悔しくねーのかってばよ!!?」

「あー、でももしオレがキバと同じ状況に置かれてたら、同じ様な事言いそうな気もするし」

 あははと笑みを浮かべるに、ますます気力の無い雰囲気がそこらから膨れ上がる。



 ホントにこんなんが臨時の担当で良いんだろーか。

 子供達の顔にはでかでかと、隠す素振りも見せずにそう書いていた。



 そんな子供達の顔を、は一度ぐるり、と見回して。



「まあ、お前等の不満は判るつもりだけど、文句はじーさまに言え?つーか寧ろ一番の被害者は俺よ、俺」

 俺だってイキナリこんな事押し付けられて、一杯言って来たのにまだまだ言い足りねーんだから。



 にぃっこり。



 それはそれは綺麗な笑みを浮かべて、未だ文句を言いたそうな子供達をその美貌で黙らせる。

 しかしその笑みに惑わされなかったナルトとサスケは。



(・・・・・・お、おいサスケ・・・・・・)

(・・・・・・ああ、まだ根に持ってるな・・・・・・)



 その裏に未だ静かに怒りが燻っている事を感知し、ぎこちなくから目を背けた。




 




 




 




 
 近辺の畑を荒らす野犬の捕獲。或いは退治。

 ソレが今日の任務。ランクは一応Cだ。



「取り合えずオーソドックスに4つに分かれて探して行こうか」

 んで、出来たら四方を包囲した上で一斉に飛び掛って捕獲、ってのがベストだな。



 そう軽くのたまったに脱力しながら、ソレでも子供達は言う通りに4手に分かれて森に入った。

 ナルトとシノは南から。チョウジとシカマルは北から。サスケとキバは西から。サクラといのとヒナタとは東から。

 因みにこの班分け(?)はの独断と偏見の上で分けられたモノである。

 曰く。



「えーだってナルトとキバ一緒にしたら喧嘩しそうじゃんか。どっちも短気だし」

「サスケをサクラかいののどっちかと組ませたら絶対後で修羅場になりそうだし。かといって3人まとめると速攻サクラといのがサスケの取り合い始めるだろ?」

「え、シカマルってチョウジのストッパーなんじゃねぇの?アスマせんせからそう聞いたけど?」

「女の子は男の子よりどーしても体力低いのが現状だからさ、俺はこのチームの保険」



 ・・・・・・だ、そうだ。



「まあ、その通りっちゃ、その通りなんだけどな」

 余りにも的を射た意見。思い出して、キバはぼそり、と呟く。



 顔を合わせた事なんか数えるくらいしかないのに、自分達の性格をちゃんと把握している事にちょっと驚いた。

 ソレにこの班分け。表向きは兎も角、見事に均等に力が分配されていると思うのは気の所為か。



「なあ、サスケ」

「・・・・・・何だ」

「アイツ、お前等の事知ってんのか?」



 キバの科白に、サスケはちらり、と横目でキバを一瞥し、毎度の如く返って来る沈黙に、キバは溜息を吐いた。



 キバが、ナルトとサスケの本性を垣間見たのは、ついこの間だ。一ヶ月と経っていないんではなかろうか。

 慰霊祭の日。ナルトに暴行を加えていた(実際はナルトの作った影分身だったが)中忍を、この2人はいとも簡単に、自分やシノやシカマルの目の前で、屠って見せた。



 ソレからこいつ等の事が気になって気になって、しつこくしつこく3人で纏わり付いた。

 しかし探りを入れようとすると固く口を噤む。もしくはさらりと煙に巻かれる。後を付けば撒かれる・・・・・・そんな事が延々と続いている。

 今ではサスケの沈黙にもナルトの冷めた視線にも慣れた。



 ・・・・・・考えが反れたが、まあ何せ。

 理由は知らないが、本来の力を隠しているサスケとナルト。力は無いがソレを頭脳でカバー出来るシカマル。

 恐らくは、裏の――――――と云うか本来の、ナルトとサスケを知っているのだ。だからこそのこの人選だと、キバは思う。

 そしてそのナルトが、は強いと言っていた。あながちソレも嘘では無いんだろう。

 しかしとてもそういう風体には見えないから、素直に納得出来ない。ソレは彼の、何処までもやる気無さそうな軽い雰囲気の所為だ。



「好い加減、隠してる事全部ゲロっちまえよ、サスケ」

「・・・・・・お前こそ、好い加減諦めたら」

 どうだ、と続けられようとしたサスケの言葉は、途中で遮られた。



 ――――――鋭い、悲鳴にも似た声によって。



「っっ!!?」

 弾かれた様に顔を上げたキバの前では、既にサスケが、その音の元へと向かって走り出していた。




 




 




 




 

疑わしげな目付きで見られました。





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