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ソレからバタバタと慌ただしく。ソレはソレはもう、慌ただしく。

あたしの手は、包帯でぐりんぐりんにされて丸っこくなった。ホント度を越してるってくらいに。

血で汚れた布団だって片付けられて、場所を変えようって広間に移って。




 




 




 






軍医、過去を思い出す、の巻。

~あたしそんなオエライさんじゃないから!!~





 




 




 




 
世癒殿がワシを殴った事については、不問にするとして」

「・・・・・・本当にソレで宜しいんで、大将?」

「構わぬ。元々ワシに非があったのじゃ――――――怒気を納めい、幸村!」

「・・・・・・っ、畏まりましてございまする、お館様」





改めて、「殴ってゴメンナサイ」 って頭を下げたあたしを、お館様は許してくれた。

オカンは不服そうだし、わんこは未だにあたしを睨んでるけどね。





「・・・・・・ったく、甲斐の虎に手ぇ上げるたぁ・・・・・・」

「・・・・・・だ、だからゴメンって」

「Become silent (黙れ) 。コレで同盟の件が流れでもしたらどうするつもりだったんだ。しかもこんな怪我までしやがって」

「・・・・・・・・・・・・あう。」

「おまけに一週間近くも寝込むだけじゃ飽き足らず、挙句の果てにゃ命を削る歌だ?何だそりゃ、Ah?」





そして、あたしはといえば。

お説教モードに入った筆頭さんに、しずか~にチクチク言われてます。





「ドレだけ俺等に心配させたと思ってやがる・・・・・・Hey世癒。金輪際、あの歌を歌うのは禁止だからな」

「・・・・・・やー、あの、でもー・・・・・・」

「独眼竜の言う通りだね。先生、あの歌はヤバいって」

「・・・・・・うー、でも、だねぇ・・・・・・」

眞神、もし歌おうとしたら、俺ぁ殴ってでもおめぇを止めるからな」

「・・・・・・いやちょっとソレは勘弁して欲しいかなー、なんて・・・・・・」

「・・・・・・せんせい、だめ。」

「・・・・・・や。けどね、小太・・・・・・」

世癒殿。老い先短い年寄りの寿命をコレ以上縮めんでくれ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





しかも、右目さんは眉間の皺2割増しだし、いっつも飄々としてる風来坊も目が据わってるし、小太なんかもう涙目だし。

おまけに、じじさままで沈痛な面持ちで言ってくるもんだから。





「わたくしも、あのじゅつをくりかえしこうしするのはいかがなものかと、おもいますよ」

・・・・・・・・・・・・しかも軍神サマまで便乗してきやがったよ。

「もうすこし、ごじあいなさい、みつかいどの。おおかみさまも、そなたがたおれれば、きっとこころをいためられます」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・心を痛めるどころか、絶対ウザいくらいに泣き咽ぶだろうねあの発行体なら。





「・・・・・・・・・・・・Ah-、つか、軍神」

「・・・・・・・・・・・・なんで今ソコで大神様?」

――――――・・・・・・・・・・・・あ。

ちょちょちょちょっと待て!?ねえ待って!?





「――――――おや、どくがんりゅうもふうらいぼうも、きづいていなかったのですか?」

「・・・・・・・・・・・・ちょ、ちょっと軍神サマ待っ――――――」

「そのものは、おおかみさまのみつかい。かみのわこですよ」

「だから待てっつかなんで軍神サマがんな事知ってんの!?」





思わず。ホンットーに、思わず。

筆頭さん押し退けて身を乗り出しちゃいました。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・や、やっちまったよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

グサグサ刺さる驚愕の視線が。い、いちゃい。





「・・・・・・・・・・・・Hey、世癒・・・・・・・・・・・・お前、南蛮から来た、って・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・マジで・・・・・・・・・・・・?マジで、先生・・・・・・・・・・・・大神様の、和子なのかい・・・・・・・・・・・・?」

「いやいやいやいや。んなワケないっしょ。確かにぐーぜん大神サマにお会いしてお願いされてご加護ももらってるけど。」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あう。ち、沈黙が。

沈黙がイタイです。





「――――――Ah~、世癒」

ナニなに筆頭さん急に!?あっもしかして嘘吐いてる事バレてる!?

「と、いう事は、だ。世癒殿、おぬしが大神様の御使いだというのは、本当なのだな?」

つかナニ!?何故ナニどーしてお館様まで改まって!?!?

「おお。じゃから鷹神様からも御子と呼ばれて・・・・・・と、すると世癒殿は神子であらせられるのか!?」

ちょっ、じじさままでっ!止めて!!何かははーっ!!てイキオイ良く平伏なんて止めて!!





をいこら風来坊!!何時もの軽口どーした!?なぜ右目さん下がってくの!?

ああああっっ、小太まで!!んな事やっちゃいけません!!いやむしろしないで!!お願いだから!!





「あ、あの、その、ね!?確かに俺大神サマに会ったけど俺が神サマなワケじゃないんだから!!そんな平伏される様なモンじゃないから!!」

「But、」

「でももへちまもない!!だから止めて!!お願いだから止めてそーゆーの!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、言われましても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「今までどーりにして!!でないと泣く!!絶対泣くよ俺!?いーの泣いても!?」





ううぅ。こーゆーのがイヤだったからあの発行体の事なんて言わなかったのにっ。なのになのにっ。





うえぇ~、ってホントに泣きそうになったら、筆頭さんがでっかい溜息吐いてあたしの頭をぽんと撫でた。

「・・・・・・・・・・・・Ah-、解った解った。だから泣くな世癒」

そんなあたし達を、軍神サマやお館サマは微笑ましそーに見てたりじじさまや風来坊は苦笑してたり右目さんやねーちゃんやオカンは呆れてたり。

わんこは何か明後日の方を向いて 「に、睨んでしまったでござる・・・・・・神子様を睨んで・・・」 なんて頭抱えてるし。





まあ取り敢えず、いちおあたしの意見は通ったとホッとしたトコに、背中からくつくつと振動。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つか虎神」

     『何だ、御子』

「ナニ楽しそうなのってかあんた何時までココにいんの」





当然の様に、座るあたしの背凭れになるみたいに悠々と伏せている虎神に、ジトッとした目を向ける。

そんなあたしに虎神は。





     『はっはっはまあ我の事は気にするな』

「気にするわっっ!!」





思わず突っ込んでしまったのは、決してあたしの所為じゃない。と思いたい。うん。




 




 




 




 






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