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ふわふわ、してた。

なんかすんごいやわらかい極上の羽毛の布団、みたいな。

寝るの大好き!!なあたしからしたら、ソレは逃れ難い、誘惑だった。




 




 




 






軍医、過去を思い出す、の巻。

~怒られんのあたしなの!?~





 




 




 




 
「イヤまあうん解ってんだけどな世癒の寝汚さなんか」





さらさらさら。

そんな感じであたしの頭を撫でる感覚と一緒に降ってきた苦笑気味な声に。

あたしは、思わずパチリと目を開けた。





いやだってだって!!





そのまんまの勢いでガバッと身体を起こして、声が降ってきた方をババッと振り返る。

しかして。ソコに、いたのは。





「・・・・・・・・・・・・夜刀?」

「うん。おはようオヒメサマ。」





ぽかーん。としながらぽつりと溢したあたしの声に、夜刀がふぅわり、笑う。





・・・・・・・・・・・・うん。夜刀だ。

この声。この顔。この、笑顔。

間違いようもなく、夜刀だ。





「・・・・・・・・・・・・っっ」

・・・・・・・・・・・・あ。やばい。なんか泣きそう。





あたしは両腕を伸ばして、ぎゅうっ、と夜刀にしがみ付いた。

ぐりぐりと顔を肩口に押し当てる。

ぽんぽん、と。宥めるみたいに背中を叩いてくれる震動が、心地良い。





「・・・・・・夜刀・・・・・・」

「うん」

夜刀・・・・・・っっ!!」

「うん、世癒」





優しい声。優しい手。

・・・・・・ああ。夜刀だ。あたしの、あたしだけの。





あたしは、ぐりぐりと押し付けてた顔を上げた。

ふぅわりふぅわり。と。

何もかもを包み込む様な、柔らかい黒と朱金があたしを見詰める。

その、微笑みに。あたしは何だかグッとキて。





「・・・・・・っっんのバカ守護者ぁぁああああっっ!!!!」

「ぅえっっ!?あだっっ!!」





どすこーい!!と、夜刀を思いっきし突き飛ばした。





「今までドコでナニしてたんだこのバカ夜刀!!あたしをほったらかしにするなんて!!あんたソレでもあたしの守護者か!!」

なんかホッとしたら今までの不満がぶわっとキて。

「ちょ、世癒、落ち着いて落ち着い・・・・・・あたたた、痛い痛い!痛いって!!」

あたしは突き飛ばした夜刀の上に馬乗りになって、ばこばこ夜刀の胸を両の拳で叩く。

「うるさいうるさいうるさいぃぃっっ。なんでっ、」





ぽか、と叩く。もう一回。ぽく。

ぱたり、と。あたしの目から雫が零れた。





「――――――世癒・・・・・・・・・・・・」

あたしの手首を掴んだ夜刀が、顔を歪めて。

「・・・・・・なんでっ、あたしの傍にっ、あんたがいないのぉ・・・・・・っっ!!」





――――――次の、瞬間には。

力いっぱい、夜刀に、抱き締められてた。





「・・・・・・・・・・・・ごめん、な。世癒」

「・・・・・・うぇえっ、くっ、ひっく・・・・・・」

「ホント、ごめん、世癒」





ゆ、許してなんか、やるもんか。そんな、そんな愁傷な声なんか出したって。

ちょっとやそっとの事くらいで、許してなんか、やんないんだからっ。





ぐすぐす鼻を啜りながら、あたしはまた夜刀にぐりぐりと顔を押し付ける。

夜刀はそんなあたしの頭を撫でてくれて。

「つか俺だって世癒に怒りたい事があんだけど」

だけど、イキナリむにって両手で顔を挟まれて無理やり上げさせられた。





世癒。お前ナニした?」

「・・・・・・・・・・・・ぅえ?ナニ?って?」

泣いてた事も一瞬忘れて思わずきょとん。

・・・・・・・・・・・・うわぁ。なんか夜刀コワイ。ちょー笑顔なのにコメカミ青筋浮いててコワイ。





「目が覚めたら知らない世界の森のど真ん中。隣にいたお前はいなくて、しかもこの 〈界〉 の弱ったアーグに引き摺られて猫の姿を取るのが精一杯」

「え。まぢ?」

「大まぢ。しかもエーテル乱れてるわうっすいけど瘴気充満してるわ、その所為かお前の居場所もぜんっぜん掴めないわ」

「・・・・・・う、うん」

「なのに行き成り。お前の術の余波を感じて喜び勇んでコンタクト取ろうと思ったら、当のお前は生存本能MAX状態で昏倒してるし」

「こ、昏倒!?」

「そう、昏倒・・・・・・なあ世癒、俺前にお前に言ったよな?幾らお前が無尽蔵の力持ってるったって、器の半分以上は未だ人間だから、使い方間違えんなよって」





にぃっこり。

そう言った、夜刀の笑顔は。

それはそれは、もうスバラシイくらいに満開でした。




 




 




 











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