そんなこんなでズルズルと日々を過ごし。

・・・・・・や。ただ過ごすだけなのもアレなんで、青葉城を拠点にして奥州・羽州色んなトコ行って浄化をしてましたが。

んで、日差しもあったかくなって雪も溶けて、新緑なんかも芽吹く様になった今日この頃。

実に半月ぶりに、あたしは筆頭さんとまともにお話をしました。




 




 




 






奥州筆頭、企む、の巻。

~何時の間にそんな噂が飛び交ってたの。~





 




 




 




 
・・・・・・・・・・・・つか、今更になって気付いた。

最初の宴からもう3月近く、どーして筆頭さんも腹心さんも忙しい忙しいって取り合ってくれなかったのか。

確かに、忙しかったのは嘘じゃないんだろう。でも、すこーしくらい顔を合わせる機会があっても良かったハズなのに。

ソレでも、2人があたしとまともに話す機会を作らなかったのは。





「相州を攻める」





横に腹心さんを控えさせて、何を言うかと思えばこの人。

しかもなんか三傑とか呼ばれてる成実さんとか鬼庭さんとかも一緒。

あと何人か武将っぽい人もいるって事はコレは内輪会議かそーかそーか。





「小田原城には突破困難とされる栄光門がある。コレが1番のNeckだ。――――――が、」

「逆を言えば、この栄光門さえどうにか出来れば、後は容易い、と」

「That`s right。奇襲を仕掛け、門を閉じられる前に城内に傾れ込む。O.K?」





何でソコであたしを見るんだ筆頭さん。

ソレは何、あたしも出陣しろって事ですか?





「――――――奥しゅ・・・・・・政宗」

イヤンな予感が頭をよぎって、あたしは筆頭さんに呼び掛ける。

ソコで筆頭さんのみならず周りのミナサマの視線がザッ!!とあたしに集中してどっきぃ!?としたけど。

負けちゃダメだ負けちゃダメだと何回か胸の中で繰り返して、く、と筆頭さんを見返した。





「此れ、軍議か」

「――――――本会議じゃねぇがな?」

「なんで、俺がここにいんの」

「――――――・・・・・・・・・・・・あんたも連れてく予定だからだ」

「・・・・・・戦に?」

「戦に」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。

周りのミナサマ。何を今更、とか小さく野次を零すのやめてくださいってゆーかイヤンな予感どんぴしゃだったよ。

でっかい溜息だって吐きたくなるってもんさ。

「・・・・・・・・・・・・I must be a guest、and not be a soldier (俺はお客で、兵じゃ無い筈なんだけど) 」

だけど面と向かってオカシイだろソレおい!!と言うのは怖かったから、ぼそりと英語で言い返してみる。





なのに、次の瞬間筆頭さんが浮かべた笑みは。

コレぞまさしく、悪の親玉、といっても過言じゃないくらいの、悪巧みの笑み。





「ソレこそ今更。あんたはもう、伊達の人間だ」

「――――――だから・・・・・・・・・・・・」

「つか諸国にゃ俺の部下として知れ渡ってるぜ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」





な に ゆ え ! ?





。あんた兵共や城下の町人達になんて言われてるか知ってるか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・や、知らない」

「俺が異国から引き抜いてきた、優秀な軍医、だとよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冗談」

「俺ぁこういう時のこういう笑えねぇJokeは嫌いだ」





うんだろうね。

・・・・・・・・・・・・じゃなくて!!なんでそんな目で見られてんのあたし!?





「あんたの指導でDoctorのLevelが上がった。兵共の稽古を見るくらいの腕っぷしもある――――――何より、一揆を無血で収めた」

「・・・・・・・・・・・・や、けどアレは――――――」

「ソレに前の戦ん時、あんた俺抱えて敵陣突っ切ったろ。しかも、俺もあんたも傷ひとつ負わず、1人も敵を殺さずに」





ざわりっ、とミナサマ方がざわめいた・・・・・・・・・・・・て、何であたしが1人も殺さなかった事解ったんだろう?

「後から忍に偵察させた。すっげぇ神技だった、って噂が飛び交ってたらしいぜ?」

ああ。ナルホドなっとく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、いやまさかそんな。たったソレだけで!?





「――――――そして、もうひとつ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ。あたしはまだ何かやったのか。

「あんたが伸した忍・・・・・・次の日にゃ見張りの2人を斃して牢から抜け出てやがったが」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、うん」

うん聞いた。その話聞いた。

あいつけっこー強かったのにっ。せっかく捕まえたのにっ。あん時のあたしの苦労返せっ。

「アレな。どうやら北条のじじぃんトコの、伝説の忍だったらしい」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほうじょう、の?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でんせつ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・て、こと、は?

え?ええ??えええ!?なにソレまぢで!?!?アレ小太郎だったのか!?!?





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じょうだ」

「だぁから、俺ぁ笑えねぇJokeは嫌いだ」





あたしは笑えなくても冗談であって欲しかったけどね。

筆頭さんは最後まで言わせず一蹴してしまいました。





「竜が新たに召し抱えたのは智略にも医術にも長けた異国の鬼人だってな。そんな噂が独り歩きしてるのさ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・楽しそうだ筆頭さん。心っっ底、楽しそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つか噂流れたのも小太郎が逃げたのもワザとじゃないだろうね。

「奥州以外の表街道はまともに歩けなくなっちまったなぁ?――――――諦めろよ、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん決定。ワザとだ。絶対ワザと。





あわれあたしは、にぃ、と笑う筆頭さんに、重い溜息を返すしかなかった。




 




 




 











<<バック                    バック トゥ トップ>>