迷子の迷子の子猫ちゃん〜。アナタのおうちはココですよ、っと。

てな感じで送り届けたのは良しとして。

・・・・・・なんであたし、こんな事になってんだろーあははのは(遠い目)。




 




 




 






不審者、お城へ招待される、の巻。

〜説教に巻き込まないでクダサイ〜





 




 




 




 
お昼過ぎ・・・・・・ってよりもう夕方に近い時間帯。

頑張ってくれた鳥さん達の案内で、あたしと筆頭さんと狼さんは、途中さっきみたいなヤツ等に引っ掛かる事も無く青い衣の人達のトコに辿り着いた。

うん。ソレはイイ。

見張りのリィゼントで特服な人 (何故?) が 「誰だ!?」 なんて槍向けてきたけど、筆頭さんが 「Hey、俺だ!!」 って言ったら直ぐに降ろしてくれた。

コレもセーフだ。

んでやっぱりリィゼントに特服な他の見張りらしいあんちゃんが奥へ引っ込んだと思ったら、何か猪突猛進なイキオイで893さんなにーちゃんがごっつい形相ですっ飛んできた。

・・・・・・・・・・・・うん。ギリギリだけど、コレも何とかクリアしとこう。





け・ど。





その893なにーちゃんが、筆頭さん見るなりでっかいカミナリ落としたのは頂けなかった。

何せあたしってば、未だに筆頭さんお抱えしてたんだもの。

モロに巻き添え食らいましたわさ。





な・あ・ん・で!!

手負いの獣みたいに危ないオレ様にーちゃんの手当てしたげてっ。

傷に負担掛けないよーにってほぼ丸一日抱え上げてっっ。

あぁんなでんぢゃらすぞーん突っ切ったにも関わらずっっっ。

いやアレは確認しなかったあたしも悪いけどっっっっ。

ナニユエこんっっな大音響で怒鳴られなきゃならんのですか!?





しかもこの893なにーちゃん!!

一息吐くまであたしの事ゼンッゼン気が付かなかったんだよ!!

ほわい!?ナゼなにドーシテ!?

そんなに目線の高さも違わない、あたしの事が見えてないの!?

筆頭さん抱えてんじゃん!?筆頭さんよりも目と鼻の先じゃん!?





しかもしかも、やぁっと一息吐いたと思ったらっ。

「で、こいつは何ですか、政宗様?」

すっごい凶悪な目付きで睨まれた!

しかも 「誰」 とは聞かず 「何」 ってあたしモノ扱いですかい!?





あ。なんか自分で自分の眉間にシワが寄ったのが解った。

そしたら目の前の893なにーちゃんも、更にむむっと目付きが鋭くなる。

ばちばちばちっっ!!と、あたしと893なにーちゃんの間に火花が飛んだよーな気がした。





・・・・・・・・・・・・いや、ココは1度落ち着いて。

売られたケンカを喜び勇んで買うなんて、青春真っ盛りな若人じゃないんだから。分別持った大人なんだからあたし。





「・・・・・・・・・・・・奥州筆頭」

呼び掛けたら、893なにーちゃんにすぅ、と目を細められた。

え。なぜ。

「――――――てめぇ、政宗様に向かって軽々しく・・・・・・っっ!!」

ってそーゆー意味ですかい!?

ちょ、何で抜刀しようとしてんの!?

こっ、こらこらこらっ!!狼さんも!!臨戦態勢入らない!!





「止めろ小十郎!!」

ざっ、と間合いを取ったら、いまだに抱えたままだった筆頭さんが鶴の一声を発してくれた。

「こいつぁ俺のBenefactorだ!!刀を引け!!」

お。893なにーちゃんがぐっ!てした。踏み止まったよすっごく不本意そうだけど。





あたしはギリギリと歯を噛み締めてコッチを睨んでくるにーちゃんを傍目にひとつ溜息落とす。

「お前もだよ、狼。引きな」

     『ですがみこさま』

「引け、って言ってんだけど」

ぴしゃり、と言ったら渋々下がった・・・・・・何だかなあ。





まあ、何はともあれ。一触即発は免れたし。

「奥州筆頭。此処で、間違いは無いね?」

まあ間違ってないのは一目瞭然なんだけど、筆頭さんに声を掛ける。

「ああ。俺の陣営だ」

「解った」

そして返ってきた返事に、あたしはもう一度一息吐いた。





ゆっくり。腰を屈めて、筆頭さんの傷に響かない様にその以外に華奢だった身体を降ろす。

すと、と両足が地面に着いたと同時にぐらっと揺れたけど、筆頭さんは慌ててあたしの首に齧り付いたしあたしもしっかり支えたから無問題。

・・・・・・・・・・・・893なにーちゃんからぶわっと殺気が飛んできたのは頂けませんが。





「Thanks・・・・・・小十郎、こいつは俺のBenefactorだっつったろ。その殺気どうにかしろ」

「し、しかし!!そんな得体の知れない・・・・・・!!」

確かにすっごい不審人物だってあたし自身自覚あるけどね。

「・・・・・・まあな、見た事もねぇ様な着物着てるしよ・・・・・・」

あ。筆頭さんも同意見ですか。





だけど。

ふ、とひとつ息を吐いて。893なにーちゃんを見据えた筆頭さんに。

「だがこいつが俺を手当てして此処まで連れてきたのもFactだ・・・・・・てめぇは恩を仇で返すつもりか」

肝が、冷える思いがした。




 




 




 











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