ちょっと予想外でかんなりイヤンな再会があったけど、あたし達はどーにかこーにかドンパチ起こす事もなく無事にコレクションを守り通せました。
んで、そのままのイキオイで最終日もつつがなく過ぎ。
護衛任務を無事完遂させたあたし達は、展覧会成功の打ち上げも兼ねた晩餐会にご招待されていた。
そう。ご招待されたのは晩餐会だったのに・・・・・・ね。
今あたしは、始終ニッコニコと機嫌の良いハイン氏から、コレはどーだのアレは何だの、延々コレクション自慢をされてます。
隣で聞いてるは情報収集も兼ねてソレナリに興味深そうに聞いてるけど。
あたしとお子様組は、もう1時間近い長話にちょっと集中力散漫気味さあははん。
そんな、周りをきょろきょろと見ていたゴンが、ふ、ととある棚に目を留めた。
「・・・・・・あれ?ねえ、おじさん。アレもおじさんのコレクションなの?」
「ん?ドレの事だね?・・・・・・ああ、アレ。そうだよ。何でも、特別な力を持った人だけが遊べるゲームだとか」
・・・・・・・・・・・・ん?んん??
――――――ソレって、まさか――――――
あたしはと目を合わせる。
くい、と袖を引っ張ってきたキルアも、もしかしたらアレ、って小さく囁いて来て。
ソコへハイン氏が、極めてアッサリ、太っ腹な事をのたまって下さった。
「私はどうも、その特別な力がなかったみたいで出来なかったが・・・・・・そうだ。君にあげよう。今回の仕事のボーナスだよ」
・・・・・・・・・・はい?
金遣いが荒いと認識された日。
しかもハイン氏の太っ腹発言は、ソレだけに留まらなかった。
何と、「この部屋にあるものドレか。1人ひとつずつ持って行って良いよ」と言ったのだ。
・・・・・・・・・・・・いやいやいやいや。ちょっと待てちょっと待て。
イイのかソレで!?そんなにかるーく言っちゃってイイのか!?
コレクションでしょコレみんな!!
アソコのでっかい虹真珠なんて、超巨大海底生物の腹の中にしか生息しないっていう幻の大貝からしか採れないんでしょ!?
ソレ以外にも、アレとかコレとかソレとか!!
出るトコ出れば兆単位だって付くくらいの価値があるんだよ全部!?
なんて、声を大にして言ってやりたかったあたしだけど。
「集めてるモノに共通性あんま無かったからなー。高価なもの、珍しいものは手当たり次第、って感じで」
「蒐集する、って行為自体が趣味なんだろう。ま、本人が持ってって良いって言ったんだ。そんなに気にするなよ、」
生粋の蒐集家なんだろーなーあの人、なんてキルアと一緒にのほほんと言ってのけるの手首には、細いプラチナのブレスレットが光っている。
なんかどっかの遺跡から発掘されたらしい。古代の賢人が身に着けていた大層貴重なアミュレットなんだそうな。
・・・・・・うん。確かに護符だよね。邪を祓う力が込められてるから。
とりあえず、が獣や鳥に変形しても落ちたりしない様に、伸縮自在の効果を『実現する幻想』で附属させてみた。
ついでに、獣なんかから人型になったりしても変態さん呼ばわりされない様に、の服一式を収納できる効果も付属させてみた。
――――――・・・・・・・・・・・・コレだけで1億と5千万がアッサリ消えていきました。
『実現する幻想』の説明に追加事項が増えたね。
元々念の籠ってる物品に更に念を込めるのは、以外に金を食う、って。
ちなみに、キルアはナイフを貰ってた。
シルバさんの蒐集してるベンズ・ナイフとは違うけど、妖刀もまっつぁおな気をだだ漏らしてた。
そんなの危ない事この上ないからって、がアーグでさっさと破邪に変換さしてやってたけどねっ。
ゴンは、ハイン氏に進められるままにアレを貰ってる。
念能力者しか起動させる事の出来ない、原作で出てくるのはまだまだ先。だけどすこぶる貴重なアイテム。
その名も、『グリードアイランド』。
――――――まさかココで、しかもタダで手に入れられるなんてね。
んで。あたしはといえば。
(・・・・・・ソレにしても、まさかソレがハイン氏のコレクションの中にあるなんてな)
(あたしだってコレには驚き通り越したよ)
しみじみ呟くに、あたしもソレ・・・・・・自分の右手の中指に目を落として言う。
幅の広いプラチナ。彫り込まれた幾何学模様。内側に誕生石が埋め込まれてる。
(まさか、あの時の売ったコレが巡り巡ってハイン氏のトコにあるとは思ってもみなかった)
そう。ソレは、あたしが25の誕生日の時に自分で買ったリング。
この 〈界〉 に来て、路銀にする為に質屋に売った、あの、リングだった。
・・・・・・・・・・・・1万ちょっとジェニーで売ったコレが、何故2億になったんだろう。世の中不思議だ。
「まあ、キルアとゴンの初仕事は無事完遂、という事で・・・・・・次、コレからどうするか、だけど」
「ねえ。オレ、また仕事してみたい!!」
「はーい俺もー。なあ、本格的に 『路地裏の猫』 再開しねぇ?」
「ソレはダメ。2人ともまだ念が安定してないから」
スパッと言い切ったらお子様組はむぅ、と膨れた。
いやいや。そんなかわゆい顔してもダメなものはダメです。
今回は警備、っていうまだ難易度の低い仕事だったけど、次に入って来た仕事もランクが低いかどうかは解らないからね。
そんな2人の頭を、が笑いながらがしがしと撫でる。
「ま、まずは修行だな」
「だね。・・・・・・と、すると。やっぱアソコかなぁ」
溜息吐きながら同意して。とある場所を思い浮かべてみれば、が意地悪くあたしを見てくる。
「何だ、。とうとう腹括ったのか」
「・・・・・・・・・・・・、ドコ行くの?」
「そんなヤバイとこなのか、?」
の何か企んでます、みたいな顔と、あんまり乗り気じゃないあたしの反応にお子様組は不安そうにあたし達を見上げてきて。
あたしは、もう一度溜息を落とすと、やっぱりあんまり乗り気じゃない声で、一言、告げた。
「・・・・・・・・・・・・天空闘技場だよ」
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