前回同様、ゼブロさんは「扉を開けて中へ入って下さい」とあっさりのたまってくださった。

自分達もですかー?って聞いたら、何を当り前な、みたいな顔でイエスが返って来て。





・・・・・・ちくせう。予想はついてたけどホントにあたし達の事まで報告してやがるよこの人。

まあ、ココに来た時点でソレは予想してたんだけどもさ。





挨拶だけで終われば万々歳・・・・・・て考えてたら、横からキルアが見上げてきた。

って、コレ開けれんの?」

「ん?ああ、4までなら」

あっさり頷いたら、え、まじで?なんて答えが返ってきた。

そんな非力に見えますかあたくし。





「本気出したら6までイケるんじゃないか、?」

まあ、確かに開けれん事はないですが。

「・・・・・・本気の『ほ』の字も出してないのに7開けたヤツに言われてもね」

「出してたぞ『ほ』の半分くらいは」

胡乱な目でを流し見ながら言ったらは胸を張って言い切って、お子様組は「まぢで!?」と大声を張り上げた。




 




 




 




 
  
子供の保護者を依頼された日。




 




 




 




 
ソレからあたしは試しの門を開けられなくて特訓するって残ったゴンと、そのつきそいをするってがやってくるのを待ちつつ、本邸でご厄介になっていた。

・・・・・・・・・・・・何度逃げ出そうと思ったかは、数えてないから解んない。





だってキキョウさんには着せ替え人形にされるし!!

キルアやカルトちゃんには遊んでよとか言われつつ実際ちょーアブナい事に付き合わされるし!!

挙句の果てにはシルバさん!!

ちょっと手合わせを、ってゼンゼンちょっとぢゃなかったよ本気だったよもう死にそうだったよ!!





こんな日々がまだ続くのか・・・・・・ヤだなぁもうあたしホントに逃げちゃおうかなぁゴン待たずに。

なんて考えてた時、来客者の知らせがあった。

まさか・・・・・・と思って、客室からエントランスへ降りてみたら、ソコにはゴンとがいた。

・・・・・・・・・・・・ちょっと待て・・・・・・まだ1週間しか経ってないぞ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさかスパルタでもやったのか、。ソレに喰い付いたのか、ゴン。





「わあ、すっごい綺麗だね、!!」

しかもキルアと再会を喜んでたゴンが、あたしを見た開口一発目がコレでした。

「・・・・・・・・・・・・さんきゅ、ゴン」

褒めてくれるのは嬉しいけど、素直に喜べません。





だって今回のは、レースをふんだんに使った、ゴスロリっぽい服だ。

シルバさんはなんか痛ましい目であたしを見てるし、キルアとは今にも吹き出しそうな笑いなんか堪えてる。

・・・・・・・・・・・・ちくせう。てめーらもキキョウさんの餌食になってみろってんだ。





そんなキキョウさんは、カルトちゃんとお買いものだとかで今はいない。

ミルキはなんかハマッてるゲームが忙しい、らしい。

ゼノおじーさまはお仕事だそうだ。





「俺の部屋行こうぜ、ゴン」

「うん、わかった!!」

そんな事を言いながら、キルアとゴンはぱたぱたと廊下を走ってく。

うん。こーして見るとやっぱりお子様だね。カワイイカワイイ。





さてあたしはどうしようか、と思ってたら、シルバさんに2人共付き合え、と言われました。

・・・・・・・・・・・・さてはまた手合わせデスカ?

とかちょっと不安になったけど違った。通されたのはふつーの客間だった。

執事さんの持ってきた紅茶を飲みながら、のんびりまったり、シルバさんの言葉を待つ。

・・・・・・・・・・・・てゆーか、馴染んできたよなぁ、あたし。毒の入ったモノを口にする事に。





「アレが、フリークスの息子か」

ぽつり、と零された声に、顔を上げた。

シルバさんは、感慨深げに小さく息を吐く。

「お前等は、どう思ってんだ?」





思わず、と顔を見合わせた。

どう思ってる、って。ねぇ?

「ソレは、キルアの事ですか?ソレとも」

「何でも良い。思ってる事を言ってくれ」

そう来ますか。なら遠慮なく。





「この間ちょっとやらかしちゃったんで、キルアけっこー殺人に対して色々考える様にはなっちゃんたんですけど」

だってあのイルミに初めて歯向かったんだもんね。ゴン殺されたくないからって。

「まあでも、仕事と私情は割り切れる子ですから、もう少し教育すれば貴方の後継は充分に務まると思います」

あう。そーなんだよね。その辺は、やっぱ今までの生まれ育った環境の賜物というか何と言うか。

ポーカーフェイスも得意みたいだし。





「でも俺としては、今の時点から暗殺者の教育っていうのは、ちょっと早い、んではなかろうかと思うんですよね」

だってあの子は世界の広さをまだ知らない。

「あの子だけに限った話じゃないけど。やっぱり、子供には、自分の目で色んなものをたくさん見て、やりたい事を見つけて、なりたいものになって欲しいって思います」

危険はいっぱいだけどさ。でも、夢だって多いんだから、この世界は。





「まあ、暗殺者はイヤだって言ってるのは今のウチだけかもしれませんし」

・・・・・・・・・・・・をいこら。あんた何でソコでんな事言うの。

(でも、そういう可能性も、無きにしも有らず、だろ?)

「ただ、子供に選択肢を与えない親なんて親と名乗る資格なんざ無いと思ってますよ俺は」





――――――う、っわ。と思わず声が上がりそうになった。

なに怒ってんの、と横を見て。映った、の表情は。さっき吐き捨てた辛辣とも取れるセリフとは裏腹に静か過ぎて。





ああ、と思い出す。

空の様な氷の様な蒼と万華鏡の紅。思えば、『』にもあの子達にも、選択肢なんて無かった。

もしも、なんて言葉を使うのはあまり好きじゃないけど。

もしもナルトが九尾の器じゃなかったら。もしもサスケの生まれた家がうちはじゃなかったら。

・・・・・・・・・・・・もしかしたら、闇の何たるかなんて知らずに育っていけたかもしれない、なんて。





「まあ、人生何処でどう転ぶか解りませんけど。最終的に何を選ぶかはキルア次第であって欲しいですね」

思わずの手を握ったあたしに、は宥める様にその手を揺らした。

「ゴンとの関係に関してなら、正直面白いと思ってますよ――――――表と裏を代表するフリークスとゾルディックの子供達」

くすり、と小さく零す笑みは、ドコまでも柔らかい。

「表と裏と称されてはいても、表は表であって善ではなく、裏は裏でしかなく悪ではありませんから」

思い出す様に細めた目は、温かくて。

「あの子達は強くなるでしょうね。互いの存在に、今まで見えなかったものを見て。切磋琢磨し合って。だから、先が楽しみです」





優しく微笑むに、シルバさんは、「そうか」となんか考え込んだ。

・・・・・・うん。おとーさん、って感じだ。

やっぱ暗殺者って言っても人の親。子供の心配、この人はちゃんとしてる。





「そういやよ、

ふ、と組んだ手の上に載せてた顎を上げてシルバさんがを見た。

そして一体何を聞くのかと思ったら。





「お前があのガキを鍛えたんだってな」

「え?・・・・・・ああ、ゴンですか?」

「ゼブロが感心してたぞ。1週間で扉を開けられる様にするって宣言して、本当に1週間で開けさせちまった、ってな」

「ソレは、どうも」

・・・・・・・・・・・・すんごい笑顔で言われてるし受け答えしてるけど。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・どんな鍛え方だったのかはあたしの精神安定の為に聞かないでおこう。うん。





「人にモノを教えるのは上手いみたいだな」

「そうでもないですよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。なんかヤな予感。

「試しの門も、あっさり7まで開ける」

「力だけはありますから」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。笑顔の下になんか企みを隠してそうですね。

「ハンター試験の時には、面白い技まで使ってたってな」

「ああ、ソレは企業秘密という事でお願いします」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰だこの人にちくったの。





「そんだけの力があんのに、まさか念を使えねぇ、剩え知らねぇって事はねぇよなぁ?」





うっわぁ直球。しかも断定だよこの物言い。

「――――――・・・・・・・・・・・・ソレは」

「言い逃れはすんなよ?大体、俺を目の前にして度胸があり過ぎんだお前等は。ソレは万一何かあっても切り抜けられるって自信からだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え、と」

自信はないですが奥の手ならあります。

「ソレに念の熟練者は、精孔が開いていない様に見せ掛ける事も容易く出来るしな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・降参です。完敗ですよホントにもう。





「・・・・・・・・・・・・確かに、俺達2人とも、念を知ってますし使えもしますが、ソレが何か?」

「なに、お前等に仕事を頼みたいのさ」

溜息混じりに暴露したら、シルバさんは勝ち誇った様な笑みを浮かべてひとつ頷く。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すんごい、いやんな予感マックスだ。





「キルアを鍛えてやってくれ。出来れば念も教えてくれると助かる」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」





あたしとは揃って絶句した。




 




 




 










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