すっかり雰囲気も軟化して。
仲直りのしるしも兼ねてとあたしが果物食べさせ合いっこなんてしてたら。
キルアはどっか遠くを見てて、クラピカが顔を赤くして胸を押さえてちょっと苦しそうになってた。
心配になって具合悪いのか?って聞いたら。
「いやちょっと胸やけが・・・・・・」
ホントにちょっとだから気にするな、って逆に気遣われてしまった。
そんなクラピカともさっき別れて。今日はスタート地点近くで野宿しようってやってきたあたし達。
途中、ハゲ・・・・・・もとい、ハンゾーとプレート交換の交渉があったけど。何事もなく日は暮れていきました。
ああ、やっと終わったサバイバル生活!!
最終試験に臨んだ日。
迎えにきた飛行船に乗ってしばらくゆっくりくつろいでたら、順番に呼ばれる受験者さん達。
アレです。あの意地の悪い面接。
やっぱ戦いたくない人、ってゆーのにピエロなんて名指ししたら、速攻で組まれちゃうのかな。
・・・・・・・・・・・・いやいや。アレと闘いたくないって思ってるのはあたしだけじゃないハズだ。うん。
どーしよーって考えてたら、の番号が呼ばれた。
「行って来る」
「ああ」
サラリ、と部屋から出ていく背中を見送って、さてと、と周囲を見渡す。
・・・・・・・・・・・・目が合いそうになった変態は無視して、と。
・・・・・・・・・・・・じーっとコッチを見てるハリセンボンも無視。
っと。あ、いたいた。
「ゴン、キルア」
「あ、!」
「あれ、は?」
「今呼ばれてる」
元気に呼び掛けてきたゴンと、あたしの横を見て聞いてきたキルアの頭を撫でて。
「、ずっとキルアと一緒にいたんだって?イイなぁ。オレも一緒にサバイバルしたかった!」
・・・・・・いえ、本場の野生児とサバイバルなんてしたら、体力もちません。
「クラピカも1日一緒だったんだぜ、な?」
「ああ。の料理が美味かった」
「えーっ。なんでクラピカもキルアも、オレを誘ってくれなかったの!」
「あー前の試験の時の豚、美味そうだったよなー」
「いやだってゴンもレオリオもいなかったし」
『受験番号298番の方、298番の方、お越しください』
わいわい騒がしくしてたら、呼ばれた。
あたしはひらり、と手を振って待合室を後にする。
・・・・・・・・・・・・さて。あの質問には何と答えるべきかね。
む~ん、と考えてる間に目的地に着いて、コンコンコン、とノックして入れって言われてノブを回す。
部屋の中には、やっぱり会長がいらっしゃいました。
「失礼します。298番です」
「座りなさい」
後ろ手でドアを閉めて言うと促されて、あたしは素直にじーさまの前に座る。
「なんじゃ、今日は外套を着ておるのか」
「・・・・・・何か問題でも?」
「いや、特にはないがの。ただちぃと、297番と瓜二つじゃと聞いて、どんくらい似ておるんかと思っての」
まあね。前の試験では始終監視者がくっついてたし、その前のトリックタワーで受験者さん達は全員あたし達の顔を見てる。
今更隠したって意味はない。
だけどあたしが今ものマントを被ってるのは、一重に突き刺さる変態とか変態とかハリセンボンとか変態とかの視線から逃れる為だ。
・・・・・・・・・・・・その所為で、彼等の視線は目下に集中してますが。
でも、今この場には警戒する様な視線の持ち主はいない。
「まあ、双子ですから」
だから、ほっほっほ、と笑うじーさまに、あたしも小さく笑ってフードを落とす。
そしたらじーさまはちょっと驚いた顔をして。
「確かに瓜二つじゃのう、眼福、眼福」
・・・・・・・・・・・・眼福って何がですか。
「・・・・・・・・・・・・あの、ソレで呼び出しの訳は・・・・・・・・・・・・」
「おお、そうじゃった。なに、最終試験をするに当たって、2、3質問をさせてもらおうと思っての」
「はあ」
よしきたコレ。
「まず、何故おぬしはハンターになりたいのかの?」
「1番の理由は、ホテル代がタダになるから、ですかね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あ。絶句した。
「後、ハンター証ってコレ以上ない身分証明になるじゃないですか。だから何があっても、就職にはあぶれないかなって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しゅ、就職、かの?」
「はい。就職です」
双子は考え方も同じなんかのう、なんて呟いてる・・・・・・っての回答も同じだったんかい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、そうか。では、おぬし以外の10人の中で、1番注目しているのは?」
「特には」
変態もハリセンボンも注目したくない。ゴンとキルアの素質なんて既に解ってるから今更。
レオリオはイイ人だしクラピカの覚悟はソレナリだと思うけど、戦闘能力でいったらあたしより遥かに劣る。
「ふむ。では、あの10人の中で最も戦いたくないのは?」
ほらきたコレ。
「・・・・・・297番。いや301番。いやいややっぱり44番。あの変態にだけは絶対関わり合いになりたくないですね」
ぐーるぐーる考えながら言い換えて言い換えて、最後にきたのはやっぱりアレ。
そんなあたしに、じーさまは矢張り双子じゃのう、ってほっほっほ、と笑った。
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