結局、あたし達は報酬をもらう事なく、チェックインしていたホテルにすら行かず、前にお世話になった樹海へと舞い戻った。
・・・・・・・・・・・・だって報酬貰いに行こうにも、まだ団長サマいるかもしれないし。
建物壊したのあたしだし。
不幸中の幸いは、がしっかりおじーさまとヴァイオリン守って、センリツさん含めてアソコから逃がした事だろうか。
(念能力者じゃないって思ってる)彼女は、「とても強いのね、また何かあったら声を掛けるわ」なんて言ってくれたらしい。
つっても、しばらくは休業だけどさ。てゆーか、もう『路地裏の猫』の名前で仕事するのはないんじゃないかな。
・・・・・・・・・・・・だって今回の一件で、団長サマに目ぇ付けられただろうから。
けっこう気に入ってたのに白猫・黒猫。くすん。
動きが再び止まった日。
そんなこんなで、ほとぼりが冷めるまでは樹海の中に隠れてよう、ってなった。
「ついでに新しい念の開発と特訓しよっか、」
「・・・・・・えー」
なんでそんな面倒なコト。そんな表情をありありと浮かべてを見やれば。
「実力主義のこの世界で、誰にも屈さず侵されず我が道を行く為に。望む望まないは二の次で、力は絶対必要なモノだよ?」
にっこり笑って言い返された。
「せめて、あのクロロ・ルシルフルと互角に渡り合えるだけの力は最低限身に付けておかないと。何時でも俺が傍にいるワケじゃないんだし?」
・・・・・・・・・・・・しかもイタいとこ突いてくるし。
まあ、でも。確かにそうだ。
『路地裏の猫』として依頼を受けてた3ヶ月間。
確かにあたし達は別々の仕事をしてたって時もあって、何時も一緒、ってワケじゃなかった。
――――――・・・・・・・・・・・・仕方ない。
別にどっかのピエロな戦闘狂みたいにバトルが好きなワケじゃないし、某暗殺一家のあの辺とかみたいに殺人快楽者でもないけど。
自分の身を守る為だ。とてつもなく不本意ではありますが。やりますか開発と特訓。
ってセンセイもいる事だしね。
と。
ココでふと思った。
「ねえ」
「ん?何?」
「さっきぷっつんキた時、気がついたら魔法ぶっ放してたんだけど。しかも実際に使ってみたの初めてだったんだけど」
「ああ。やっぱあん時のエーテルの動きってだったんだ」
「わざわざ新しく念使おうとしなくてもソレナリに強くない?」
「いや全然」
一蹴ですか。
「だって、アレ高等呪文だっただろ」
「・・・・・・・・・・・・あー、うん、まあ」
「高等呪文であの程度の威力ておかしいだろ」
「・・・・・・・・・・・・うん、まあ、確かに」
「ソレはさ、この世界の主流が念っていうもので、魔法ってモノにあんまり馴染んでないからだよ」
まあソレはソレで、この世界のエーテルと契約でも何でもすればどーとでもなるかもだけどね。
そういうに、だったらやればいいんじゃないかな、と返したら、あんまりいい顔されなかった。
何でも、馴染みがない、いこーる、扱いづらい、ものらしい。
そして扱いづらいものは、扱いづらいだけ掛かる負荷が大きいという。
肉体的にも精神的にも。
「ま、エーテルコントロールに適した月の雫はの右極にあるから、大丈夫だろうけど」
「大丈夫なんかい」
「でも、念には念をってね。使えるに越した事はないんだから」
だから頑張って特訓しようね、なんてににっこり笑い掛けられて。
あたしはおっもい溜息吐く事で返事を返した。
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