どっごぉん!!
「っっ!?」
「うわっっ!?」
イキナリ横からきた爆風に、あたしと団長サマは煽られた。
反対側の壁に叩き付けられそうになるトコロを何とか踏ん張って、受け身を取りながら床に転がる。
放り出してた『舞扇』をちゃっかり拾うのも忘れない。
もくもくと上がる煙にけほ、と小さく咳すると。
ぐい、と右腕を掴まれ立たされた。
止まってから動き出した日。
「仕事中に男を引っ掛けるのは感心しないな、白猫」
からかう様な声音に、思わず顔を上げる。
はたしてソコには案の定。
あたしを団長サマの視線から遮る様に。おもしろい刃の形をした双剣の片割れを片手に下げた。フードをすっぽり被ったマント姿の。
「――――――黒猫!!」
良かったあたし助かった!!
「しかもコンサートの客。一般人じゃないか」
・・・・・・・・・・・・。あんた解ってて言ってるでしょ。
「――――――君は?」
・・・・・・ああああ、団長サマ今すっごくご機嫌ナナメですね。解りますよ声でええもうしっかり解りますとも。
そりゃ不意打ちとはいえ転がされたんだもんねアタリマエだよね。
「何、白猫・・・・・・コイツを迎えに来た、只の同僚だ」
・・・・・・対するの機嫌は、隠してるつもりだろうけど楽しそう。
ええ?何故ナニどーして??
「全く・・・・・・コッチが必死になって賊と応戦してるって時に。こんなトコロで油売って」
「・・・・・・・・・・・・ぐっ。イヤでもソレはっっ」
「しかも男と逢引き?・・・・・・あんたの嗜好にケチをつけるつもりは無いが、時は選べよ時は」
「どんな嗜好だどんな!?」
一体何を想像したんだあんた!!
イヤやっぱイイ!!言わなくてイイ!!
つかあんたあたしがどんだけ寿命の縮む思いしてたか、最初っから最後まできっちり解ってんでしょー!?
「――――――と。白猫からかうのはこのくらいにして」
やっぱりワザとだったんかい。
思わずがっくり項垂れたあたしを背中に隠して、は立ち上がった団長サマと対峙する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっわあ。急下降だ。マックスだ。コレ以上ないってくらい不機嫌丸出しだ。
「こいつはあんたのモノにはならないよ」
をいをい待て待て。何余計に挑発する様な事言ってんの。
「――――――何故、そう言い切れるんだい?」
ああほら。すっごい笑顔なのに目だけが笑ってないよ団長サマ。
「俺がいるから、さ」
――――――ぎぃん!!
ありえない速さで踏み込んできた団長サマの一撃を、はあっさり剣で受け止めた。
そのまま何度かがきんがきんと切り結び、一呼吸置いてばっと間合いを取る・・・・・・つかあの本、ドコまで硬いの。
耳に痛い沈黙。威圧的な雰囲気。誰も彼も動きが止まって。呼吸さえ、止まったかの様に思えて。
先に動いたのはだった。
「白猫!!」
イキナリぐるんと方向転換して、ぐわしぃっっ!!とあたしの腰を引っ掴んで担ぎ上げると間髪置かずに駆け出す。
行先は――――――さっきあたしが魔法5連発叩き込んだ所為で空いた壁の穴。
「なっ、待て貴様!!」
突然で反応が遅れた団長サマが、追い掛けてきた。
「やだね!!」
そんなの声にはありありと、あんなバケモン相手にしてられっか!!って響き。
うんあたしもその意見に大賛成だ。
「炎の性持つ大気の一部 爆ぜろっっ!!」
だからぶんっと片手振り上げつつ煙幕の魔法を叩き付ける。追い掛けてきてた団長サマをたちまち黒い煙が包む。
そして、あたし達は。
そのまま一切後ろを振り返る事なく、一目散にその場から退散した。
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