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さめざめと、啜り泣く様な。
霧雨が降り注ぐ夜だった。
「サスケ、ナルト」
掛けられた声に。
忍具の手入れを止める黒糸と。
巻物から目を上げた金糸。
何だ、と視線のみで問い掛ければ。
「やるよ、それ」
目の前に落とされた、赤い紅い、煌き
其れは目にも鮮やかな。
緋色の、耳飾。
何を行き成り、と金糸は眉を顰め。
女じゃあるまいし、と黒糸が溜息を吐く。
けれど目の前の青年は。
最早隠す事も無くなった。
朱金と青銀に笑みを含ませ。
「もらってよ」
お前達の為だけに作った。
御守なのだから、と。
「此れが?」
「そうは見えない」
「御守、だって」
後が無くなってしまった時。
逃げ場すら失ってしまった時。
もう、駄目だ。そう思ってしまった時。
「たった、一度きりだけど」
此れはお前達の、力に成る。
お前達を守る、力に成る。
其れだけの力を、込めて。
「きっと、お前達を助けるから」
ふあり、と微笑む面は。
まるで蕾綻ぶ華。
「だから、もらって、くれないか」
優しい声音に。
無意識ながらも紅玉を手に取ったのは。
紛れも無い己達の意思。
思えばあの時。
彼は理解っていたのだろう。
こういう時が来る事を、予知していたのだろう。
だから。
きっと。